325/929
スーパーマーケットにて 3
自動扉が開き切る前に身体をねじ込もうとする涼香と涼音。
二人同時に同じことをしたため、当然中に入れるのは扉が開き切った時だ。
「生き返るぅ……」
全身を冷やす空気に、安堵の息を吐いた涼音。しかし涼香は一息つかず、涼音を引っ張って店内に入っていく。
「ちょっとせんぱーい」
どこへ連れて行かれるのかは理解はしているが、止まらずに引っ張られると驚いてしまう。
涼香が涼音を連れて来たのは、冷蔵庫が冷たい風を吐く、生鮮食品売り場だった。
「ここなら更に涼しいわ!」
手を広げて冷気を全身で浴びる涼香。
「……汗が一気に引きますね」
更に生き返った涼音が目を細める。
タオルで汗を拭い、もう汗が止まった様子の涼香は、涼音の汗も拭いてあげるのだった。




