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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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302/929

水族館にて 10

 この階ももう終わりが近いらしく、『太平洋』の水槽の底が見える。


 泳いでいる魚だけでなく、底の、それも隅っこに魚が集まっていたりする。


「底よ」

「ですねえ」


 この位置からだと、魚が空を飛んでいるように見える。


 遠くの方を泳ぐジンベエザメを涼音(すずね)は眺める。


「後ろは……クック海峡ね」


 涼香(りょうか)の声をする方を見ると、『クック海峡』の水槽がある。


 スミツキイシガキフグという、ハリセンボンに似た魚や、スカーレットラス、レッドピグフィッシュ、コバンザメなどがいる。


「色々な生物がいていいではないの」

「自然って感じですね」


 涼香と並んで水槽を覗き込む涼音。


 どことなくリラックスしているような雰囲気を感じる。


「次はなにが待っているのかしらね」


 恐らくメインは『太平洋』だ。それを過ぎた後、どんな展示を二人を楽しませてくれるのだろうか。


「もう少し見ていきましょうよ」

「そうね」

 

水の中を漂うように、二人はもうしばらくこの階を楽しむのであった。

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