表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

276/928

水原家の台所にて 4

「そして切った物がこちらにあります」


 どこからともなくカット済みの野菜を取り出した涼香(りょうか)


 いったいどこに隠していたのだろう。


「えぇ……」


 そうくるかと、涼音(すずね)は呆れた声を出す。


「昨日夜の内に切っておいたのよ」


 誇らしげにそう語る涼香。


 夜ということは寝静まった後だろう。


「怪我しませんでした?」

「この通りよ」


 心配する涼音に傷一つない指を見せる涼香。


「ならよかったです」

「ええ。では巻きでいくわよ、三分しかないのだから!」


 もうこの後の展開を予測した涼音は鶏肉を冷蔵庫へ戻す。


「これらを鍋に入れて炒めるわ。そして炒めたものがこちらに、ついでにお肉も入れてルウも入れたわ!」


 よっこらせと、どこからともなくシチューの入った圧力鍋を取りだした。


「……」

「三分クッキングよ」

「下準備凝ってますね」


 鍋を火にかけてシチューを温める。


 具材には既に火が通っているため、軽く沸かしたら完成だ。


「やってみたかったのよ。こうして料理するのを」

「分からないこともないですけどね」


 三分は経ってしまったが、グツグツと煮えてきたのを確認すると、涼香は容器にシチューをよそう。


 いくら冷房が効いているとはいえ、やはり目の前で湯気が立つシチューを見ると汗ばんでくる。


「美味しそうね」


 汗を拭いながら涼香が言う。


「ルウ使ってますしね。味は美味しいでしょ」


 手でパタパタ自分を扇ぎながら涼音が言う。


 すると涼香は、ねえ知ってるかしら? とでも言いたげな顔で言う。


「隠し味を入れているのよ」

「どうせ愛情ですよね?」


 しかし涼音は即答。


「どうして分かったの⁉」

「十分すぎる程貰ってますから」


 そう言って、お皿を持ってテーブルへ向かう涼音であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ