表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

264/928

涼香の部屋にて 21

 もう七月も残り数日、現在涼香(りょうか)の部屋で寝泊まりしている涼音(すずね)は、朝からなにやら人が動く気配を感じてその重たい瞼を持ち上げた。


「うるさいですね……」

「私の部屋よ? もしかして反抗期……⁉」

「そでしたね。で? なにやってるんですか、こんな時間から」


 身体を伸ばしながら、そばにやって来た涼香に問いかける。


「小学生の頃涼音から貰った手紙を持ってきたわ!」


 思い出されるのは小学生の記憶――になるはずは無く。


「なんでそんな物持ってるんですか⁉」

「そんな物、ではないわ! これは私の数多くある宝物のひとつよ!」

「宝物はひとつで良くないですか⁉」

「もちろん一番は涼音よ!」

「じゃあ捨ててくださいよ!」


 そう言ってまだ目覚めたばかりの身体を精一杯動かして、涼香の持つ手紙を奪おうとする涼音。


「これは涼音から貰った手紙よ! 一番大切な涼音に貰った手紙なのよ! 涼音ボーナスが付くのよ!」

「知りませんよ! 早く! 捨てて! ください!」


 大きく手を伸ばす涼香に必死に食らいつく涼音。寝起きの身体では涼香から奪うことすらできない。


「そんなことより、寝起きでしょう? 水を飲みなさい」

「じゃあ捨ててくださいよ!」


 なおも奪おうとする涼音であったが、やがて膝に手をついてしまう。


 それを見た涼香が涼音に言う。


「私が貰った物よ、捨てるか捨てないかは私が決めることよ」


 確かに涼香の言う通りだ。いくら涼音が嫌がろうが、手紙は涼香の大切な物だ。


 それを持ち主では無い、送った側の涼音でもそれにとやかく言うのは酷い話だ。


 冷静になった涼音もそのことを理解した様子だった。


「……じゃあせめて存在をチラつかせないでください」

「確かにそうね」


 机の中にその手紙をしまった涼香。


 隙間から他にも色々見えたが、涼音は見ないことにするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ