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夏休みの学校にて 4
綾瀬彩小テスト対策講座受講生の声――。
「そうね、なかなか良い講座だと思うわ。見なさい、ギリギリ合格できたわ! この喜びを誰に伝えたいかって? 涼音しかいないわよ!」
「なにやってるんですか……?」
「復習よ」
「えぇ……」
教室を出てくるなりなにか茶番を始めた涼香に涼音はドン引きの表情。
無事に小テストを合格することができ、もう夏休み中に学校へ来る必要は無い。
宿題はあるが、心置きなく夏休みを満喫することができる。
「ねえ涼音、今日は外でご飯を食べましょうか?」
清々しい表情の涼香が涼音に笑いかける。
「え、はい。まあ……はい」
指でこめかみを押している涼音、見るからに疲労困憊といった様子だ。
「あら、疲れてるの?」
「甘い物食べたい……。喋りすぎた……」
人生初めて、というレベルで同級生と話した涼音。
「それが友人関係よ!」
「絶対違うし、それが本当ならなおさらいらない」
同級生と関わりたくないという気持ちに拍車がかかる涼音であった。




