夏休みの二年生の教室にて 2
徐々に涼しくなっていく教室で、一つ席を隔てて向かい合う涼音と夏美。
「檜山さんって水原先輩とどういう関係なの?」
「それ、相談と関係あるの?」
ツンと突き放したような言い方をする涼音に、すこし怖気づいた様子の夏美。
「う、うん……」
「あっそ」
そのまま夏美はなにも答えない様子だったため、仕方なく涼音は答える。
「ただの幼馴染じゃない?」
「幼馴染?」
「だって小さい頃から一緒にいるし、かと言って血の繋がりは無いから家族でも無い。だから幼馴染でしょ」
家族ではないが、家族同然の関係。常に一緒にいて、ともに成長した涼香と涼音。
「羨ましいなあ……」
「なんで?」
悲しそうに目を伏せる夏美に怪訝な表情を向ける涼音。
「……ねえ檜山さん。私がこれから話すこと秘密にしてくれる?」
窺うような目を向けてくる夏美。さっきまでのハイテンションな様子は鳴りを潜め、大人しい、不安に揺れる少女の姿だった。
「いらない」
そかしそんなことどうでもいい涼音は、即答でそれを切り捨てる。
「なんで⁉」
まさか即答で返されるとは思いもしなかった夏美である。
「だって興味ないし、てかなんであたしがあんたとそういう話しないとダメなの?」
「え、だって相談乗ってくれるって……」
「乗るのは乗るけど、秘密云々は知らない。まあ、別に話すような相手はいないけど」
涙目になっていた夏美は、その瞬間顔を輝かせて身を乗り出す。
「じゃあ話すね!」
「どうぞご勝手に」
顔を顰めて肩をすくめた涼音であった。




