表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

250/929

補習にて 番外編

 廊下を歩き出した(あや)は、涼香(りょうか)達の再テストを担当する教師とすれ違う時に会釈して、はたと気づく。


「あ、結局勉強してたの単語の暗記ぐらいだった」


 珍しくやる気だったため、丁寧に教えていたのだが、本当の基礎の基礎しか教えていない。


 まあ単語さえ覚えていれば、補習の再テスト程度なら問題は無い――はずなのだが、テストを受ける人が人だ。


「ま、その時はその時か」


 とりあえず今回はこれでいいやと、後で心配だから様子を見に行ってやろうかと考えながら彩は自分のクラスへと戻る。


 すると――。


「あー! 先輩、どこ行ってたんですか! 私結構長い間待ってたんですよ?」


 彩と同じベージュ色に染められているボブヘアーにパーマを当て、ウェーブさせている女子生徒――伊藤夏美(いとうなつみ)が、もししっぽがあるのなら扇風機みたいに振り回しているであろうテンションで、彩の下へ駆けつけてくる。


 その人懐こい動きは、見る人を自然と笑顔にさせてしまうような、そんな雰囲気を纏っている。


「ああごめん。勉強教えてた」


 そんな夏美を適当に流しながら、彩は自分の席へ座る。


「私という存在がいながらも、他の人の所に行ってたんですか⁉」


 そんな彩の後ろから、椅子の背を持った夏美が左右に揺れて言う。


 少しずつずれていく椅子を元の位置に戻しながら、彩は机に広げっぱなしにしていた勉強道具を片付ける。


「あれ、先輩もう勉強しないんですか?」

「あんたの相手しないとうるさいし、それに勉強は家でもできるから」

「なんですかその扱い……」


 後ろで頬を膨らませた夏美。


 そして彩の前へ回り込むと、ニコッと笑う。


「でも先輩は私に会うために! 夏休みなのにわざわざ学校に来てくれたんですよね?」


 私知ってるんですよ? と言いたげな夏美の頭を彩は両手で挟む。


「そんな訳あるか!」


 ぎりぎりっと力を込める。


「痛いですっ! 痛い痛い痛い痛い痛い!」


 彩の手を叩いてギブアップする夏美であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ