お風呂にて 4
クソ暑っつい中、スーパーから走って帰ってきた涼香と涼音。
「先輩……シャワー……行きましょう……」
ぜえぜえと息を切らしながら、涼音は家の鍵を閉める。
ちなみに家からスーパーまで、徒歩十五分ぐらいの距離だ。
「汗が吹きでる前に行きましょうそうしましょう!」
走っている最中は汗が出てこないが、止まった途端、滝のように汗が溢れ出て身体や床がものすっごいことになることを二人は知っている。だから二人は靴を脱いだ後、家に誰もいないことをいいことに服を脱ぎながら浴室へ向かう。
行きの時点で服は汗を吸っていたため、とりあえず全て洗濯機へ放り込み二人は浴室に入る。そして丁度浴室へ入った時、二人の身体は思い出したかのように汗をかきだす。
「暑いわ暑いわ、汗が止まらないわね」
「ちょっと先輩汗すごすぎですよ」
涼音が涼香の身体を見て言う。
「ちょっと屈みなさい、シャワー出すわよ」
早く汗を流したい涼香は、シャワーを出そうと涼音の代わりに手を伸ばす。
「え、ちょっとま――冷たあっ! って先輩抱きつかないで! ああもう! ぬるぬるする!」
涼音を抱きしめる形になった涼香。涼音の背中は、まだお湯の出ない冷たいシャワーが、前は汗で濡れた涼香がいる。
「水は冷たいけど涼音は温かいわ」
背中に水がかかる涼音は、自分とは正反対な涼香のゆっくりとした鼓動を聞きながら、少しでも暖を取ろうと涼香にしがみつく。
「ちょちょちょっ、ああたし風邪ひきま――温かい……」
ガチガチ震えていた涼音が文句を言っている最中にやっとシャワーからお湯が出てきた。
安堵の息を漏らした涼音、冷たくなった背中が心地よい温度の湯が温めてくれる。
「私も浴びたいわ」
「え、ちょっとまだあたし浴びてるんですけど?」
「いいではないの」
涼香はシャワーフックからシャワーを取るとそのまま手を掲げる。
高い位置から落ちる湯が、涼香と涼音の顔面を掠り、身体の前半分を温めながらボタボタ落ちていく。
「ちょっと涼音、頭を上げなさい。私にかからないではないの」
丁度二人の真ん中に落ちてくる湯、涼音はそれを独り占めしようと、頭を涼香に押し付けて後頭部いっぱいに湯を浴びる。
「極楽……」
頬を膨らませたり涼香は、シャワーの角度を少しかえ、自分にかかるように持つ。
「初めからこうすればよかったのよ」
「先輩の意地悪ぅ」
「仕返しよ」
涼香の言葉に頬を膨らませた涼音は、シャワーから出てくるお湯を水に変える。
「ちょっと涼音なにやっ――てぇっ!」
そしてすぐさまお湯に戻す。
「仕返しです」
涼音はヘアゴムを外しながら笑うのだった。




