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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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241/928

スーパーマーケットにて 2

 両開きの自動ドアが開くと、冷たい空気が駆け抜けて汗で濡れた身体を冷やしていく。


「タオルを持ってくるべきだったわね」


 涼香(りょうか)は溢れ出る汗を拭いながら、足早に店内に入る。


「ああ〜涼しい〜」


 涼音(すずね)もその後に続く。


 涼香は真っ先に鮮魚コーナーへと向かう。冷蔵庫の冷気で更に涼もうという考えだ。


「それで、なに買うんですか?」


 とりあえず鮮魚コーナーまでやってきた涼音は、服の裾をパタパタしながら涼香に聞く。


「言ったでしょう? 夏を感じたいだけだって」


 まだ汗の引かない涼香は、汗が落ちないようにしながら、並ぶ魚達を眺めている。


「言いましたけど、たまには豪華な昼飯――とか言ってませんでした?」

「……確かに言ったわね」


 今まで忘れていたらしい、涼香は目を丸くして答える。


「はあ、じゃあさっさと買って帰りましょうよ」


 また暑い中歩くのは嫌だが、いつまでもスーパーでいる訳にもいかない。それにこのままの状態でいると、身体が冷えて風邪をひいてしまうかもしれない。涼香はひかないだろうが涼音は別だ、早く帰ってシャワーを浴びたい。


「そのことだけどね、涼音。よく聞きなさい」


 そう言われた涼音は、気まずそうに立つ涼香を見る。


「ああ、財布忘れたんですね」


 実は涼香だけでなく涼音も手ぶらできている。


「さすが私検定準一級ね!」

「帰りましょうか」

「そうね! 第一目標の『夏を感じる』は達成できた訳だし」

「昼飯は昨日の残り物がありますから。それに、なにか冷蔵庫にある物で作りますよ」

「それは豪華なお昼ご飯ね!」

「じゃあ、さっさと帰ってシャワー浴びましょう」


 そう言って二人は、煮えたぎる真夏の真昼間、家まで走って帰るのだった。

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