夏休みにて 10
最高気温が二十五度以上で夏日、三十度以上で真夏日、三十五度を超えると猛暑日である。
夏休みは七月の後半からだいたい九月まで、今では八月後半で夏休みが終わる学校もあるという。
そう、夏休み。夏である。
「夏だというのに連日猛暑日っておかしくないかしら?」
「夏っていう季節やめて猛暑って季節にしたらいいと思いますね」
「ええ全く、涼音の言うとおりだわ。猛暑休みよ‼」
別になにも上手いことを言えていないのだが、そんなことを言ってしまうぐらいおかしい暑さである。
夏を感じようと外へ出てきた涼香と涼音は、とりあえず近くのスーパーへ向かったが、その向かう途中で猛暑に身を煮られてもう帰りたいと思っていた。
「先輩、家に帰りません? 今なら距離的にも半分半分ですし」
「それは嫌よ!」
「スーパーで涼んでも、また家に帰るまで暑い思いをするんですよ?」
「それでもよ! 私はスーパーに行きたいの!」
今日の涼香は強情だった。
「早く帰ってシャワー浴びたい……」
涼音のボヤきに、涼香は優しく微笑む。
「無理しなくても、先に帰っても大丈夫よ」
「……それは嫌です」
涼音も涼音で互い様である。
「でもしんどくなったら言いなさいね」
「はあい……先輩こそ」
猛暑が身を煮る真夏の真昼間、二人はずるずるとスーパーへ向かって脚を動かすのだった。




