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夏休みにて 7
実行は先でも、計画を立てるのは早めの方がいいものである。
涼音は夏休み前から考えていたことを涼香に提案する。
「水族館行きま――「行くわ!」
食い気味で答えた涼香に、涼音は引き気味に言う。
「わあ即答」
しかしそんな涼音の声など聞いていない涼香は、目にも止まらぬ早さで電話をかけていた。
「ねえ菜々美、車を出してくれるかしら? 水族館に行くのよ。……え? 大丈夫よ、水族館は暗くてあまり周囲の人から見られないわよ。知らないけど。……ええ……そうね……大丈夫よ、水槽が大きいからみんな魚に夢中よ。知らないけど。日にちはまた伝えるわ、ここねにもよろしくね。また連絡するわ、それでは。――涼音、いつ行くの?」
「……柏木先輩達の都合のいい日でお願いします」
「分かったわ!」
しゅばばっと文字を打ち込み菜々美へ送信する。
当たり前のように菜々美を足に使う涼香であった。




