涼音の部屋にて 13
夕食を終え、涼音の部屋へとやって来た二人。
冷房を起動させた涼音の後ろで、涼香は部屋のドアを閉めて言った。
「夏と言ったら怪談ね」
「前にも同じこと言ってませんでしたっけ?」
割とこの手で怖い話に持っていこうとしているような気がする。それが涼香なりの優しさなのか、それともただ単に導入のレパートリーが少ないのかのどちらかだ。
「何度でも味わえるわね」
「あたしは味わいたくないんですよ……」
涼音は布団に潜り込んで外部の音を遮断しようとする。
「もうっ、照れ屋さんね」
「これのどこが照れてるんですか⁉」
布団から顔を出した涼音がツッコミを入れる。まだ部屋が冷え切っていないため、涼音は少し汗をかいていた。
「布団が薄すぎて音が遮断できないはずなのに布団に隠れるところかしら?」
図星ではないのだが、得意げに語る涼香になんかイラっときた涼音は舌打ちをした。
「反抗期⁉」
「あーはいはい反抗期ですー、帰ってくださーい」
このままいけば怖い話をされなくて済むと判断した涼音は、涼香のリアクションに乗じて、少しの間反抗期に入るのだった。




