檜山家にて 2
「ただいまー」
ショッピングモールから帰ってきた涼音は、大きな荷物を抱えながら家に帰ってきた。
車で移動していたため、真夏にもかかわらず汗はかいていない。車最高。
「お帰りなさい。あら、随分と買ったのね」
「そこまで数はないですよ、大きいだけで」
出迎えた涼香が涼音から荷物を受け取ろうと手を差し出す。
「楽しみね。持ちましょうか?」
「いえ、自分で運びます」
それを断った涼音は荷物を持って階段を上がる。
早く荷物を置いて冷房の効いたリビングへ戻りたい。じわじわと滲む汗を感じながら涼音は階段を駆け上がる。
荷物を置いた涼音は、手を洗うとリビングへと身体を滑りこます。
冷たい空気が涼音の身体を冷やしてくれる。
「暑くなかった? 飲み物を用意しているわよ」
プラスチック製のコップ(涼香が自分の家から持ってきた)に水を入れた涼香が、コップを涼音に渡そうとして――やっぱり自分で飲み干した。
「えぇ……」
コップを受け取ろうとした体勢のまま固まった涼音は、室温をさらに下げるような視線を向けた。
「照れるわね」
そんな視線が効かない涼香は、得意げに微笑むのであった。




