ショッピングモールにて 3
四人がやって来たのはショッピングモール。やはり困ったらここである。わざわざ遠くまで行かなくてもなんでもある。衣食住の全てが揃っている万能商業施設。
「涼香にどんなプレゼント渡すの?」
「んー、土鍋ですかね?」
「一人鍋用?」
「それならわたしはガスコンロにするね」
菜々美を放って、なにか訳の分からないことを話している三人。
「ちょっと待って、それはボケなの?」
涼音のボケとは思えない真剣な表情に、菜々美は慌てて待ったをかける。
既に涼音は土鍋を持っており、ここねはガスコンロを大事そうに抱えている。
――これでいいのか。
そんな菜々美の心配をよそに、いつの間にかどこかへ行っていたらしい若菜が、朝顔の種と絵日記を持ってやって来た。
「菜々美は朝顔の種をプレゼントだね。私は絵日記にするから」
「観察日記やらそうとしてない⁉」
「はい、菜々美の分」
「えぇ……」
とりあえず朝顔の種を受け取ってしまったが、本当にこれでいいのだろうか。
百歩譲って、菜々美達はただの友達だし、ふざけたプレゼントでもなんでもいいのだが、涼音は本当に土鍋でいいのだろうか?
「涼音ちゃん、本当に土鍋買うつもりなの……?」
ボケているのか確認のため、恐る恐る涼音に問いかける菜々美。頷かれたらもう止めはしない。
「すき焼き鍋の方がよかったですかね……?」
「……わかんない」
表情が消える菜々美であった。




