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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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217/929

水原家にて 4

 夏休みのこと。


「見なさい涼音(すずね)! この広大なビーチを!」


 水原家のリビングでテレビを見ていた涼香(りょうか)と涼音。


 そんな海水浴場が映ったテレビの前で、涼香は手を大きく広げていた。


「人多いですね。あたし人混み嫌いです」


 広大なビーチを埋め尽くす人を見て、思いっきり顔を顰める涼音。そんな涼音の様子を見て肩をすくめる涼香である。


「やっぱり涼音は夏が嫌いなのね。いつからだったかしら?」

「うーん……。そう言われると、いつからなんですかね?」


 二人は揃って、目だけで部屋の照明を見る。


 しばらくテレビの音だけが聞こえていたリビングで、先に口を開いたのは涼音だった。


「中学生ぐらい?」

「そうだったかしら? 私の記憶だともう少し前のような気がするわよ。小学生……高学年ぐらい?」

「あー。そう言われるとそうかもしれませんね」

「ならそれ付近ということにしましょうか」

「そうですねー」


 雑に結論を出した二人であった。

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