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涼香の部屋にて 19
夏休みのこと。
「ねえ涼音。涼音は少し外に出るべきだと思うのよ」
冷房の効いている涼香の部屋で、ベッドに寝転んでいる涼香が、木刀を構えている涼音に言う。
ちなみにその木刀は、涼香が小学生の時、遠足で京都へ行った時に買ったものである。
「出てますよ」
涼音は剣先を涼香の方へ向けて答える。
「いつ?」
その剣先をつかんだ涼香は、そのまま木刀を引っ張りながら眉根を寄せる。
「先輩の家に来るとき」
「確かに……‼」
思わず木刀を掴んだ手を離してしまう涼香であった。




