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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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211/928

夏休みの朝にて

 夏休みの朝のこと。


涼音(すずね)! これは誰の髪の毛なの⁉ 説明しなさい! さあ!」

「なんですか……」


 朝っぱらからうるさい涼香(りょうか)を、涼音は欠伸をしながら睨みつける。


「見なさいこの髪の毛を! これは誰の髪の毛なのかしら? 黒くて長いからここねかしら? まさか私に黙ってここねを部屋に連れ込んだの⁉」


 涼香の黒髪と同じ長さの髪の毛を眼前に突きつけられた涼音は、面倒くさそうに欠伸を返した後、タオルケットを涼香からひったくり、眠りに落ちようとする。


「すーずーねー。こーたーえーなーさーいーよー」


 涼香はそんな涼音の身体を揺らす。


「もー。なんですかあ?」


 そこまで揺らされると、落ち着いて二度寝することもできず、渋々目を開ける涼音。


「これは誰の髪の毛かしら?」


 期待に満ちた目で涼香が見つめてくる。一体どういう答えを期待しているのだろうか。


「先輩」


 しかし寝起きの涼音は素っ気なく答える。涼香には悪いが、涼音は面倒くさかった。


 再び眠りに落ちようとした涼音の隣で、涼香はほっぺたを膨らますのだった。

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