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夏休みにて
夏休みのこと。
「おはよう。涼音」
「ん……」
隣で眠っている涼音の頭に軽く触れた涼香は、ベッドから這い出ようとして――。
「ぶふぇっ」
ベッドから落ちた。
一人用のベッドに二人で寝いているため、いつもより横幅が狭かったのだ。
「痛いわ……」
軽く頭を振りながら立ち上がる涼香。ぼっさぼさの黒髪を手で梳きながら時間を確認する。
「どうしましょうか……」
時刻は昼前。涼音のためにお昼ご飯でも作ろうか、なんてことを考える。
朝昼兼用の食事、冷蔵庫の中になにかあっただろうか。
「とりあえずなにか作ってみましょうか」
そう呟いて涼香は部屋を出るのだった。




