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終業式後の涼音の部屋にて
終業式が終わり、家に帰って来た涼香と涼音。
「スマホは画面が小さいんで見るのやめましょうよ」
涼音の部屋にやってきた涼香は、涼音を後ろから抱きしめる形でスマホでホラー映画を再生しようとする。
自分の部屋だし、涼香に捕まえられているしで、逃げることのできない涼音は努めて冷静に言う。
「いいではないの。画面が小さい方が怖さは半減よ。知らないけど」
「えぇ……」
涼香は問答無用でホラー映画を再生する。
別に見ている最中は、涼香と一緒だから怖くないのだが、見終えた後、一人でトイレに行く時とかがめっちゃ怖い。マジ怖い。
「あー、あたしトイレに行ってきますねー」
だから涼音は嘘をついてトイレに避難しようとする。
「行ってらっしゃい」
「え?」
いつもなら、嘘だと分かっている涼香はトイレに行かせてくれないのだが、なぜか今日の涼香は見逃してくれた。
涼音は戸惑いながらも涼香の拘束から脱出し、とりあえずトイレへと向かうのだった。




