テスト後にて 4
その日の夜。一人帰って来た涼音は、夕食を終えてからずっとベッドに突っ伏していた。
冷房が効いていて汗はかかなくても、昼間の汗はまた流していないため、ベッドに突っ伏すのはどうかと思ったが、そんなことはどうでも良かった。
別に学校で涼香に言われたことを気にしている訳では無い。結構頻繁に言われている気がするし。
でも、今回の涼香の言い方は珍しかった。いつもなら適当に流すようなことも、あの言い方をされると適当に流すのが難しかったのだ。
……やっぱり結構気にしていた。
クソデカため息。
そんな涼音が、ベッドの上でのたうち回っていると、不意にドアをノックする音が聞こえた。
返事をする前にドアがゆっくりと開く。
「無事に帰ったのね」
「ちゃんと車と自転車には気をつけましたから」
涼音の部屋に入ってきた涼香が、後ろ手でドアを閉めてそう言う。
そして涼香はベッドに腰を下ろし、突っ伏す涼音の手を握りしめて微笑む。
「少し、外の空気でも吸わない?」
涼香もあの時のことで思うことがあったのか、それとも涼音のことを心配してか、優しく問いかける。
そんな涼香の姿を見ると、さっきまで気にしていたことなんてどうでも良くなってきた。
だから涼音は、手を握り返して、笑顔ではっきりと答える。
「暑いんで嫌です!」
「意地悪!」
ちなみにこの後、いつも通り仲良くお風呂に入った二人であった。




