涼音のバースデーサプライズ☆にて 3
「みんなから涼音にプレゼントを用意してもらったわ!」
「え⁉ プレゼント⁉ いやいや、申し訳ないですって」
涼香の言葉に、涼音はワクワクしていた気持ちを吹っ飛ばされた。
まさかプレゼントを用意してもらえると思っていなかった。そういえばこの前、欲しいものを紙に書いてと言われたが、もしかしてこのためだったのだろうか。
「ちなみになにを渡すのかは私も知らないわ」
涼香はなにがくるのだろうかと楽しみな様子。
「さすがに全員分は多いと思ったから、みんなで出し合って三つ用意したんだよ」
そう言いながら、若菜は可愛くラッピングされた袋を三つ持ってき
た。大きさは両手で持てる物が二つ、もう一つは片手で持てるものだった。
「え……、いいんですか?」
「いいっていいって。さっきも言ったけど、涼音ちゃんに感謝してない人はいないから」
教卓に並べられたプレゼントを見て、涼音は目頭が熱くなってくるのを感じる。
「はい、私達から。誕生日おめでとう」
そう言われて、涼音はゆっくりと立ち上がり、プレゼントに手を伸ばす。
「開けていいですか?」
「ええ、いいわよ」
スマホのカメラのシャターを切りまくっている涼香が言う。
「なんで涼香が言うの……」
そんな中、涼音がプレゼントの開ける。まずは片手で持てる小さいプレゼント。
袋の中には、小さな写真立てが入っていた。額はシンプルな木目で落ち着いた雰囲気だった。
「わっ、写真立てですか!」
目を丸くした涼音は若菜へ顔を向ける。
「私の撮った写真が入るわね。なかなかいい物ではないの」
「先輩邪魔です」
「こういうのなら涼音ちゃんも気を使わないだろうし、やっぱり思い出って大事だと思うから……」
涼香を押しのけながら若菜が説明してくれる。
「次はこっちも見てほしいな」
ここねが二つ目の、両手で持てるプレゼントを涼音に差し出す。
「ここねの渡すプレゼント。そしてその大きさ……、全自動卵割り機ね!」
「あっと驚く主婦の味方じゃないですよ……たぶん」
受け取ったプレゼントを涼音が開ける。
「うぇ?」
アルバムだった。それも分厚い。
アルバムを取り出した涼音はパラパラと中身を確認する。もちろん中に写真は入っていなかったが、相当な枚数の写真が入るだろう。
「いいではないの! 涼音の物は私の物よ、でかしたわ!」
涼香はかなり嬉しそうだった。
「やっぱり、思い出って大切だと思ったんだ……」
ここねが儚げに、さっき若菜が言ったようなことを言う。
「ありがとうございます……」
涼音はまさかと思って最後の一つを開けてみる。
「ん?」
中には大きな――人の頭より余裕で大きいリボンが入っていた。
どういうことだ? と困惑する涼音。
「これは……こういうこと」
若菜は涼音の持つリボンを取ると、涼香の頭につける。どうやらカチューシャみたいになっているらしい。
「私ということね!」
「えぇ……」
三連続写真に関するものではなかったが、よりにもよって三つめは涼香である。
「そういえば紙に書きましたね」
この前、涼香がこういうのでいいと言って、自らの名前を書いたのだった。
「そうよ涼音! プレゼントは私よ!」
「……プレゼントありがとうございました!」
涼音は若菜達に頭を下げる。まさか写真関係のプレゼントばかりだとは思わなかったが、それはそれでとても嬉しかった。下手に残るものを貰うよりも、大切にできるし無駄にならない物。だから精一杯の感謝を込めて、涼音は頭を下げるのだった。
「ねえ涼音、どうして無視をするのかしら?」
「喜んで貰ってなによりだよ。まあまだまだ涼音ちゃんのお世話になると思うから、その時はよろしくね」
クラスメイトを代表して、若菜が涼音にそう言う。
「はい。あたしの方こそ、先輩をよろしくお願いします」
こうして、いつもよりちょっと特別な放課後が過ぎていく。
どうでもいいとは言い難い情報②
二年生からの見られ方
涼香:クールで学校1美人な先輩
涼音:仲良くなりたいけどちょっと怖い
ここね:ここねちゃんかわいい~
菜々美:残念美人




