涼音のバースデーサプライズ☆にて
涼音を追って階段を下り、一階にやって来た頃。
「あら?」
「どうしたんですか?」
突如立ち止まった涼香に、涼音は怪訝な顔をする。
「忘れ物をしてしまったわ」
涼香はいつもスッカスカのリュックをポムポム叩いている。
「えぇ……」
「取りに戻るわ」
顔をしかめる涼音に背を向けて涼香は教室へ戻ろうとすると。
「しょうがないですね」
涼音が階段を駆け上がり、ほら早く、と涼香の手を引いて階段を上がっていく。
他の生徒とぶつからないように、転んでしまわないように、涼音は慎重に階段を上がっていく。
涼音は一刻も早く家へ帰りたかった。
今日は自分の誕生日、毎年涼香がお祝いしてくれるのだ。今日も朝から「誕生日プレゼントを用意しているわ。楽しみにしていなさい」と言っていた。
一年に一回の、誕生日という特別な日。それを一番大切な人に祝ってもらえる、過ごすことができる。だから涼音は早く帰りたかった。
やがて涼香のクラスが見えてきた。しかしいつもなら、終礼後はドアが開いていて中が見えるのだが、今日はドアが閉まっていた。
誰も残っていないのだろうか? いや、窓から中に人影が見える。誰もいないという訳ではなさそうだ。
「涼音ー!」
「急に大声出さないでくださいよ‼」
なぜか急に大声を出した涼香に、涼音も大きな声で返す。
歩を緩めた二人は教室の前へとやって来た。
「ドアを開ける権利をあげるわ!」
「なんでですか。自分で開ければいいでしょうに」
文句を言うが、なんやかんやで涼音がドアに手を掛ける。
「ほらほら、思いっきりドアを開けるのよ」
「なんでそんなに楽しそうなんですか……?」
そんなことを言いつつも、涼音は勢い良くドアを開くと。
パンっ――。
という音とともに、紙テープが舞い散る。
「えっ……⁉」
突然の出来事に固まる涼音。
教室の中では、涼香のクラスメイト達がクラッカーを持っていた。
「「「「涼音ちゃん、誕生日おめでとう!」」」」
パンっパンっ――と追加のクラッカーが発射される。
あまりの衝撃に未だに動くことができない涼音の両肩を涼香が持つ。
「涼音。改めて、誕生日おめでとう」
そう言って涼音を教室の中へと押していくのだった。
Twitterに投稿したどうでもいい情報②
寒い時期の睡眠
涼香:涼音カイロ+多めの布団、または多めの布団
涼音:涼香カイロ+多めの布団、または多めの布団
ここね:厚着
菜々美:暖房




