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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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142/927

涼音の部屋にて 5

「夏といえば……そう、こ「帰ってください」


「まだなにも言っていないではないの」


 ある日の夜のこと。涼音(すずね)の部屋に来ていた涼香(りょうか)は帰らされそうになっていた。


「どおぉっせ、怖い話よ。って言おうとしたんでしょ?」


「あら、私の真似をしたの? 可愛いわね」


「はいはい、帰ってください」


 怖い話を始められる前にお帰り頂こうと、涼音は涼香の背中を押す。


「怖い話なんてしないわよ。だから押さないで」


 そう言われると押すのを止めるしかない。涼音は涼香から手を離すと僅かに警戒しながら後ろに下がり、いつ怖い話を始められても、話を止めさせることができるように枕を手に持つ。


「枕を持っている涼音も可愛いわね」


 そう言って涼香はスマホで涼音の写真を撮る。


 その瞬間放たれる枕。


 そして落ちる涼香のスマホ。


 時が止まる。床に落ちたスマホはうつ伏せになっていて、画面が割れている可能性があった。


 恐る恐る涼香は手を伸ばす。そして画面を涼音に向ける。


 涼音が恐ろしいものを見たような表情を浮かべる。


 それを見た涼香も恐ろしいものを見たような表情を浮かべた。


 きらりと光るものが涼香の目から零れ落ちる。


 やがて覚悟を決めた涼香が画面を確認すると。


「無傷ね」


「はい、無傷ですね」


 今日も平和な一日であった。

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