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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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涼香の部屋にて 13

「私は思うのよ、扇風機は出さないほうがよかったのではないかと」


 ある土曜日、ベッドに座っている涼香(りょうか)は、部屋の隅の置かれてある扇風機を見ながら言った。


「急に暑くなりましたもんね」


 涼音(すずね)がローテーブルにケーキを置きながら答える。


 梅雨の季節が終わった瞬間、エアコンが必要になるほどの暑さが日本を襲った……と思う。


 扇風機が活躍したのは梅雨後半の僅かな期間のみ。七月の今、扇風機では力不足だった。


「年々暑くなってるわよね?」


「これに関しては毎年同じことは言ってしまいますよね」


 昨日なんて学校に行くだけ汗だくになってしまった。外で弁当を食べることもできず、ずっと校舎内で外の熱から逃げなくてはならない。


「今年の夏は出かけたくないわね……と言いたいところだけど」


 ここ毎年涼香は「今年の夏は出かけたくない」と言っているのだが、今年はその続きがあった。


菜々美(ななみ)が免許証を取ったらしいわ」


「わっ、凄い」


「というわけで足になってもらいましょう」


 暑い夏でも、車であれば涼しく快適に出かけることができる。


「うわ、最低」


 涼音が冷たい目を向けるが、涼香は照れくさそうに頬を掻く。


「照れるわね」


「暑さで頭おかしくなったんですか?」


「涼音こそ、暑さで反抗期が加速したのではないかしら」


「ケーキあげませんよ」


 その瞬間、涼香はベッドから降りて慌ててケーキを確保する。


「あげないわよ!」


「えぇ……」


 いつも通り、なんて事のない休日を過ごす二人であった。

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