夏休みの日常② 『習得難易度SSS』
錬金術とは物質を化学変化により、別の物へと変化させる技術。しかし、ミホが言うには錬成を極めれば極めるほど、物を必要とせず、己の魔力のみで創造する技術が進化して行くらしい。
「そんなチート、どこで覚えたんだ?」
さっき錬成したアルミホイルで作った包み焼きハンバーグを頬張っているピンク頭に問いかける。
「それはねー」
***
ここは《ウィリディタース》。ミホの住んでいた巨大な街だ。建物は石で建設され、建物の一つ一つに巨大な根っこが絡みついている。迷路のように広がった底の深い凹みには澄んだ水が満遍なく流れている綺麗な街だ。
とある日──、この街の外れにある川沿いをミホは散歩していると、何かが流れ着いてくる。
「ん? なんだろうあの本」
流れてきたのはボロボロの本だった。
本を拾って、中を開けて見ると──、
「うおええ! ごほ、ごほ!」
溺死しかけたお爺さんが出てくる。
「お爺さん、大丈夫?」
「た、助かったぞい。あ、あの、早速なんですが……、そなたは優れた魔法使いかな? もしそうなら錬金術を授けちゃおうかなー?」
「は、はい! 優れた魔法使いでーす!」
ミホは本から出てきたお爺さんに驚くこともなく、お爺さんの言葉に迷うこともなく、意気揚々と答えを返す。
「そっか! そういうことなら、どぞー! 錬金術授けま!」
***
「と、いうことなんだよ」
「どういうことなんだよ……」
"授けま"って、一体どこのパリピだよ……。