表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【10/7完結巻発売】誤解された『身代わりの魔女』は、国王から最初の恋と最後の恋を捧げられる  作者: 十夜
国王は魔女に最初の恋と最後の恋を捧げる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/189

93 フェリクス様の10年間 2

「えっ?」

私はびっくりしてフェリクス様を見つめた。


一国の王が、一体何を言っているのかしら。

もちろんそんなことができるはずもないから、これはフェリクス様の冗談なのだろうけれど、どうしよう。どの辺りが冗談なのかが、ちっとも分からないわ。


私は曖昧に微笑むと、無難な答えを返す。

「それは、ディアブロ王国に力添えしてくれるということかしら? フェリクス様の政治的手腕が素晴らしいことは、部屋に引き籠ってばかりの私の耳にも届いているわ」


そう言いながら、ミレナに開けてもらった窓を再び閉めてもらうとともに、温かい飲み物を淹れてもらう。

「フェリクス様、お時間は大丈夫なの? 昼食の時間だから、何か軽いものを運ばせるわね」


ここ最近、フェリクス様がお昼に現れるときは必ず、昼食を削って時間を捻出していることに気付いたため、紅茶を出し終わったミレナに目配せすると、彼女は一礼して部屋を出て行った。


「ルピア」

フェリクス様はどこか物悲しい様子で私の手を握ってくると、俯いたまま口を開く。

「もちろん生まれた国ほどに心地いい場所はないから、君が母国へ戻りたい気持ちは理解できる。だが、たとえば年に何度か里帰りをするといった形ではダメだろうか?」


それはフェリクス様がディアブロ王国に一緒に付いてくる、という提案よりは現実的だったものの、私がこの国に残ることが前提になった質問だった。

けれど、私はこの国に残って、フェリクス様が新たな王妃を迎えるのを見たくないのだ。


そう考えて返事ができずにいると、彼は顔を上げて私を見つめてきた。

「ルピア、一旦、君が私と別れるという考えを横に置いてもらえないかな。君の言う通り、スターリング王国国民の虹の女神信仰は根強い。しかし、3色の虹色髪の私が王となっているのだから、これ以上は必要ない。私はレストレア山脈の積雪のように白く輝く君の髪を、非常に美しいと思うよ」


それは本当に優しい言葉だった。

この国において虹色髪に価値があることは紛れもない事実だから、そのこと自体を否定できるはずもないのだけれど、それとは異なるところで、彼は私のいいところを見出して誉めてくれたのだから。


「フェリクス様はとても優しいのね」

思ったままのことを口にすると、彼は言葉に詰まる様子を見せた。


「そうでもない。……いつだって君に優しくしたいと思ってはいるが、できていないこともあるのだから」

フェリクス様はそう言ったけれど、目覚めて以降、1つだって嫌なことをされた覚えがなかったために首を横に振る。

「そんなことはないわ」


すると、フェリクス様は言いにくそうに言葉を続けた。

「君が私から自由になりたがっていることは理解しているが、どうしても……手放すことができない」


彼の言葉を聞いた私は、びっくりして目を丸くした。

「フェリクス様、自由になるのは私でなくあなただわ。あなたは優しくて責任感が強いから、身代わりとなった私に申し訳ない気持ちを抱いていて、どうにかして埋め合わせをしたいと考えているのじゃないかしら。でも、私は見返りがほしくて身代わりになったわけではないの」


「分かっている。そして、私の命を救ってくれたことに心から感謝している。しかし、側にいてほしいのは私のためだ!」

フェリクス様は強い口調でそう訴えたけれど、すぐに「大きな声を出してすまない」と謝罪してきた。

それから、落ち着こうとでもいうかのように、膝の上で両手をぎゅっと組み合わせる。


「ルピア、君はこの国をじっくり見ると約束してくれた。私は10年かけて、君が心地いいと感じるようにこの国を作り変えたつもりだ」

彼がこの10年で色々なことを成し遂げたことは、クリスタやハーラルトを始めとした多くの者から聞いていた。


いい機会だから、その話をフェリクス様の口から聞きたいなと思う。

「ええ、よかったらフェリクス様がこの10年間で何を変化させたのかを教えてもらえるかしら?」


2国を併合した話から晩餐会や夜会を開かなくなったことまで、聞きたい話はたくさんあるのだ。

「あっ、でも、フェリクス様はお忙しいのよね。お時間がある時に、改めてうかがったほうがいいわね」


フェリクス様は昼食を抜いてまで時間を作っているのだから、忙しくないはずがない。

そのことを思い出したため、慌ててそう提案したけれど、彼は首を横に振った。


「いや、午後の予定は書類仕事だけで、急ぎの案件はない。せっかく君が聞いてくれるのだから、今話をしたい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★Xやっています

☆コミカライズページへはこちらからどうぞ

ノベル6巻(完結)発売中!
ノベル6巻
ルピアの大変な悩みごと、【SIDEフェリクス】そして、最後の恋は永遠になるを加筆し、
書店特典SSの中から、特に読んでいただきたいものを厳選して7本掲載しました。


コミックス3巻発売中!
コミックス3巻
ルピアとフェリクスの甘々な日々、それから身代わりになり、さらに……
のパートがめちゃくちゃドラマティックに描かれています。
ぐぐっと物語に入り込めますので、ぜひ読んでみてください。


どちらも素晴らしい出来栄えになっています!
ぜひ2冊まとめてお楽しみください!! どうぞよろしくお願いします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾
― 新着の感想 ―
[良い点] フェリクス様がルピアのディアブロ王国に戻るのを止めず、それでもやんわりと行かないでくれるように話したところ。 フェリクス様にはもっとルピアの気持ちを第一に尊重して欲しいと思っていたので良か…
[気になる点] ルピアが貢献してきた様々な事を公表して国民の理解を求めないと 10年、何故、姿を見せなかったか種明かししないと周囲の理解は求められないですよね そこらへんどうなんだろう どうやってフェ…
[一言] 魔女のことも妊娠のことも公表して無いなら、社交の場に出てこない、公務もしない、病弱で跡継ぎも望めそうにない、しかも1色しかない髪色なら国民とか他の貴族からしたら別の王妃がいいと思っちゃうの普…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ