表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【10/7完結巻発売】誤解された『身代わりの魔女』は、国王から最初の恋と最後の恋を捧げられる  作者: 十夜
国王は魔女に最初の恋と最後の恋を捧げる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/189

81 10年間 8

「バドったら、一体何の話をしているの? そもそも私に宰相を裁く権限はないのよ」

バドの言葉が冗談に聞こえなかったため、悪ふざけしすぎだわ、と私は顔をしかめた。


けれど、バドはまるで真面目な話であるかのように、平然とした様子で言葉を続ける。

「仁義的な話だよ。そして、ギルベルトは君に裁かれたがっている。ねえ、ルピア、無罪放免にすることだけが、正しい方法じゃないよ。ギルベルトみたいなタイプは、1度きちんと裁かれないと、申し訳ない気持ちが積もり過ぎて、君に一生涯顔向けできなくなるはずだ。彼は罰を受け入れる強さを持っているだろうから、思いっきり罰を与えてやることが彼のためじゃないかな」


私の発言を気に掛けることなく、あくまで宰相に罰を与えることを勧めてくるバドを見て、私は首を傾げる。

……本当に、バドは一体何の話をしているのかしら?


バドの話の前提として、そもそも宰相が私に犯罪行為をした事実と、私にその罪を裁断する権限の両方が必要だけど、どちらも揃っていないのに。


そう考えて首を傾げていると、私の困惑を読み取ったらしいクリスタが説明を加えてきた。

「ええとね、ルピアお義姉様、これは推測なのだけど、お兄様は近々、お義姉様にギルベルトを裁く機会を与えると思うわ」


「フェリクス様が私に? ……そう言えば、以前、ギルベルト宰相とビアージョ騎士団総長が私に会いたがっているから、1度会って罵るといいと言われたわ。冗談だと思っていたけど」

先日の会話を思い出しながらそう答えると、クリスタはびっくりした様子で目を見開いた。


「えっ、既に予告されていたのね! 残念ながら、それは冗談じゃないわよ。お兄様はあの2人がお義姉様に対して許し難い言動を取ったと考えていて、当事者であるお義姉様に裁かせる気満々だもの」


「えっ、でも……」

ギルベルト宰相とビアージョ騎士団総長から、それほど酷い言動を取られた覚えはなかったため困惑する。

先ほどから一生懸命考えているけど、それほどひどい対応をされた記憶が蘇ってこないから、何もされていないんじゃないかしら。


ぱちぱちと瞬きをしていると、クリスタが呆れた様子でため息をついた。

「お義姉様の様子を見る限り、バド様が事前に心構えを説いたことは正しかったようね。もしも突然、断罪の場面を与えられたとしても、お義姉様は持ち前の優しさで許してしまいそうだもの。だから、お義姉様に忠告しておくけど、これからお義姉様にはあの2人を裁く機会が与えられることと、その際には厳しく裁くべきだということを、正しく理解しておいてちょうだい」


まるで決定事項のようにはっきりと口にしたクリスタに、私は小さい声で反論する。

「クリスタ、でも、その2人は断罪が必要なほど酷い行為を私にしていないわよ」


「えっ、嘘でしょう? あの2人のことを考えたら、イライラムカムカすることがたくさんあるはずよ! あっ、でも、それは胎教に悪いから、今は考えなくていいわ! どの道、そこら辺の詳細は、本人の口から懺悔させるべきだから」


クリスタはそう言うと、私のお腹に向かって、「落ち着いてー、落ち着いてー、腹立たしいことは何もないわ」と優しい言葉で言い聞かせていた。


それから、私に向かって困ったように微笑む。

「ごめんなさい、赤ちゃんに悪い話だったわね。ええと、何度も思い出す話じゃないから、具体的なことはあの2人と相対した時に1度だけ思い出せばいいわ。そして、その時に感じた怒りを10倍で返すのよ。それで、ちょうどいいくらいの罰になるはずだし、すっきりすると思うから! その後は、2人のことを忘れてしまって、お腹の赤ちゃんに集中すればいいわ」


クリスタはそう言うと、少し考えた後に付け足した。

「ただし、1つだけ補足すると、バド様が言ったように手心を加えすぎるのはよくないわ。そもそもあの2人は罰されたがっているのだから、あまりに軽い罰を与えても、意気消沈してもっと多くの罰を望むだけよ」


「クリスタ」

一体私はどうすればいいのかしら、と困っていると、私の気持ちを読み取ったクリスタがおかしそうに小さく笑う。


「お義姉様ったら、こんなことで困ってしまうのね! でも、確かに、お義姉様には馴染みがない行為だから、やり方がよく分からないのかしら。だったら、私が罰を与えるお手本を見せてあげるわ」

そう言うと、クリスタは腕を組み、考える様子で中空を見つめる。


「うーん、そうねえ、女侯爵というのもカッコいいから、ミレナに家督を譲らせて、ギルベルトを当主の座から降ろすのはどうかしら? さらに、ギルベルトがクラッセン侯爵家から追放されるとなおいいわね。後は、彼の虹色髪を1本残らずむしってしまうことかしら……もしかしたら、鉄仮面の下は既にハゲ散らかっているかもしれないけど」


次々にギルベルト宰相を懲らしめる提案をするクリスタを見て、これほどたくさんのアイディアが瞬時に浮かぶなんて、頭の回転が早いのねと驚く。

「クリスタ、今の一瞬で全てのアイディアを考え付いたの? 素晴らしい閃きね。私にはとても真似できないわ」


小さく手を叩きながら称賛すると、クリスタはまんざらでもなさそうににやりと笑った。

「そう? お気に召したのならよかったわ。お義姉様が何も浮かばなかった場合には、私が言った通りに提案してみたらどうかしら。お義姉様が何を言ったとしても、何だって受け入れられるはずだから」


「えっ、クリスタが言った通りというと……」

彼女の提案は厳しい内容ばかりだったため、どうしたものかしらと言い淀んでいると、代りにバドが口を開いた。


「簡単だよ、ルピア。『ハゲ散らかっている虹色髪を、1本残らずむしるぞ!』って言えばいいんだから」


「えっ、ハ……『ハゲチラかっている虹色髪をむしるわよ』?」

そう答えると、クリスタ、バド、ミレナの3人からすごくいい笑顔を返された。


そのため、宰相と顔合わせをした際の雰囲気がよかったら、冗談めかして口にしてみようかしらと思ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★Xやっています

☆コミカライズページへはこちらからどうぞ

ノベル6巻(完結)発売中!
ノベル6巻
ルピアの大変な悩みごと、【SIDEフェリクス】そして、最後の恋は永遠になるを加筆し、
書店特典SSの中から、特に読んでいただきたいものを厳選して7本掲載しました。


コミックス3巻発売中!
コミックス3巻
ルピアとフェリクスの甘々な日々、それから身代わりになり、さらに……
のパートがめちゃくちゃドラマティックに描かれています。
ぐぐっと物語に入り込めますので、ぜひ読んでみてください。


どちらも素晴らしい出来栄えになっています!
ぜひ2冊まとめてお楽しみください!! どうぞよろしくお願いします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾
― 新着の感想 ―
[気になる点] 怒るどころかそもそも関心も持たない相手に無理に裁いてもらおうとするのは、それも暴力じゃね? とか思ってしまう…。 自分たちがスッキリしたり楽になるために妊婦さんに負担をかけるのはやめ…
[一言] また髪の話してる・・・(AA略 
[一言] わーいわーい、早くその台詞を王妃様が仰るのが聞きたい‼️
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ