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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

まわりまわって、また繋ぐ

作者: 往子

2人の少女の物語です。


色々な意味を込めました。

是非読んでみてください!

7月30日。

夕方17時。

夏だからか、空はまだ明るい。

「やっほー、風佳(ふうか)!」

「お、来た来た」

大木の幹に寄りかかり、友人の日菜香(ひなか)を待っていた風佳はスマホから目を外した。

目線の先には日菜香がいつもは一つに結んでいる髪の毛をだんごにし、青色の浴衣を来て立っていた。浴衣には、鮮やかな青色の生地に朝顔の柄が大きく咲いている。

「えー、かわいい!」

「ありがと、風佳のも可愛いよ」

日菜香は少し微笑みながら風佳の浴衣姿を褒める。風佳は日菜香と同じく鮮やかな青色の浴衣を着てきていた。だが、日菜香のに対して、風佳の浴衣は紫陽花の柄が描かれている。

「まさか日菜香も青色の浴衣とは」

「それ思った。風佳も青色だったんだ」

別に一緒にこの色で来ようと示し合わせていた訳ではない。2人はやっぱ青色って夏って感じがして良いよね、なんて談笑をしながらゆっくりと歩き出した。

「そういや、風佳は何円持ってきた?」

「5000円くらい」

「だよね、やっぱ夏祭りってそのくらいだよね」


そう、今夜は夏祭りがある。

地域で行う小さなお祭りだが、人は結構な数が来る。ここらの辺りの地域でやるお祭りは、年に1度、大きな広場のある公園で開催されるこのお祭りしかないのだ。

日菜香と風佳の周りにも、ちらほらと浴衣姿の人が歩いているのが見える。

2人は飽きることなく、会話を続けながらお祭りの行われる公園への道のりを歩き続けた。












「ねね、かき氷食べない?」

「良いねぇ。一つ何円?」

会場となっている公園に到着した2人は先ず、本会場となっている広場に続く道中で立ち止まった。

ここには毎年のように1件目のかき氷の屋台が設置されている。

…1件目、ということは他にもかき氷の屋台があるということだ。毎年のようにかき氷を作る屋台には人の行列ができている。なので、1件だけだと少し大変だということで他にも沢山のかき氷屋台があるということを昔誰かから聞いた事がある。自由に好きでやっている所の方が多いらしいが。

「あ、100円だ」

屋台の少し上を見てみると、『かき氷シロップかけ放題!100円』という文字がでかでかと

看板に描かれていた。

「よし、じゃあ買おう!」

日菜香は、手に持っていた小さなバッグのような巾着から茶色の財布を取り出した。

「何のシロップかける?」

風佳も手に財布を持つ。

幸い、少し早めに待ち合わせをしていたため、2人がかき氷を買おうとしていた時はあまり混んではいなかった。

「ん〜、全部かけちゃおっかな」

日菜香はふざけて言った。だが、全部かけたいのは本当だ。どうせなら、何種類もの味を楽しみたい。

風佳もまた「私も全部かけよっかな」とふざけて返した。

そして、2人の順番が回ってきた。

「はいよ、お嬢ちゃん達」

綺麗な100円玉をお店の人に渡す。すぐに手のひらに真っ白なかき氷が収まった。

隣のシロップをかける場所へ移動する。どれをかけようか悩んだ末に、また食べたくなったら来れば良いかと思って、2人はブルーハワイをかける事にした。

青色に変わったかき氷を食べながら、お祭りの本会場となっている広場への道のりを歩く。だんだん周りには人が増えてきた。

「そういやさ、私達の前に並んでた人、シロップ全種類かけてった」

「あ、見たみた!めっちゃどす黒い色になってた」

2人は笑いながら歩く。彼女達は高校受験生だ。もう少しでJKと呼ばれる身に相応しい、輝かしい笑顔を咲かせながら歩く。

そして、広場の入り口前にさしかかった。

前を向くと煌びやかで、且つ温かみのある光景が広がっている。

少し離れた広場の中央には大きな(やぐら)があり、そこから四方八方へと伸びるひもに提灯が点々とぶら下がっている。その下には多くの屋台が規則正しく並んでいた。

このお祭りには毎年参加して、いつもこの景色を見ている筈だが、なんだか今年はいつも以上に美しく見える。

これも、彼女が隣に居るからだろうか。

話に夢中で気付かなかったが、辺りを見渡すと薄暗くなっていた。スマホの時計を見てみると、18時を少し過ぎている。

もうこんな時間か。本格的にお祭りが始まる。

周りの人達に乗り遅れてしまってはいけない。日菜香と風佳はまた歩き出した。










    









「型抜きとか難しすぎでしょ!?」

「ふふん、綺麗でしょ〜」

ぐぬぬぬ、と日菜香は風佳のことを恨めしそうに見る。

先程、2人は型抜きをした。日菜香は兎のを、風佳はチューリップの形をしたものにチャレンジした。その結果、日菜香の兎は見るも無惨な姿になってしまった。

逆に、風佳は型抜きのコツを知っていたので、綺麗な形が保たれたままのチューリップを抜くことに成功した。

「じゃあ、ヨーヨーすくい!これで勝負!」

2人は色々な屋台を回ってゲームをしたりする内に、だんだん勝負のようなことをすることになっていった。

「いいよ、そのあとご飯食べようか」

風佳は日菜香のヨーヨーすくい勝負を受け入れた。















「そんなにヨーヨーすくってどうするの?」

「…風佳、半分あげる」

「いらない、私もあるし」

ヨーヨーすくい勝負は日菜香の勝利だった。

だが、6つもすくってしまった。

風佳は2つ。

ポヨンポヨンと歩くたびに跳ねるヨーヨーを見つめながら日菜香は独りごちる。

「…どうしよ、これ」

















「どうする、夕食何にする?」

「ん〜、風佳は何食べたい?」

「焼きそばとかかなぁ」

「あ、私も焼きそば食べたいわ」

2人は周りにある屋台を見渡しながら夕食を探し求めていた。つい先程に財布の中を見たが、2人して殆どの所持金を使ってしまっていて、残り約700円。

「なるべく安いとこ無いかなぁ…」

まだ遊び足りない。もう少し、ここにいたい。

「あ、焼きそばあったよ」

日菜香は数十メートル先にある、人だかりの出来ている屋台を見つけた。そこの看板には『焼きそば 400円』と書かれている。

「400円…ちょうど良いかな」

「そうだね」

2人は人だかりの出来ているその場所へと向かった。

「やっぱり混んでるなぁ」

「はぐれちゃいそう」

人だかりの中に入って、その一員になることには成功したが、ぎゅうぎゅうと満員電車のように人に押されて、倒れそうになるというのを繰り返す。

そんな時、日菜香が風佳の手をそっと握った。風佳は反射的に優しく握り返す。

彼女達は、よく手を繋ぐ。特に、いつも一緒にいる学校では。

女子同士の軽いスキンシップだ。

…そのはずなのに、風佳は少し頬を赤らめてしまった。先に手を握ってきた日菜香でさえも、よく見ると耳をほんのりと赤くしている。

学校以外で手を繋ぐことなんて、あまり無い。『学校』という、いつも過ごしていて居心地の軽い所で繋ぐ手と、プライベートな所で繋ぐ手とではなんだか軽さが違ってくるものなのだ。

「「……」」

2人は少し気まずくなって無言になる。

お互いに、相手は何も思っていないのだろうと寂しさを感じながら。

そんな時、人々の合間を縫って動いていた足が止まった。焼きそばの屋台に並んでいる人々の最後尾に着いたのだ。

「やっと着いた〜」

「良かった、無事着けて」

日菜香は疲弊の見られる声を出して先程の照れ隠しをし、風佳はなにも無かったかのように振る舞った。

今まで繋いでいた手を、2人は財布を取る仕草をしてパッと離した。




この気持ちは、バレてはいけないものなのだ。












 














ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「焼きそば美味しかったー」

「また来たいね」

2人は焼きそばを食べ終わり、各地に設置されているゴミ箱を探し始めた。

まだ、焼きそばの良い香りが残っている。

「そういえばさ、日菜香ってあと何円残ってる?私は300円ちょい」

「私も、焼きそば買うときに見てみたら大体300円くらいだった」

「なんかどこか行って終わりにする?」

「ん〜、時間見て決めない?」

お祭りで、300円でできること、買えることなんて山程ある。その山ほどある中から限定して選ばなくてはならない。

「あ、今、20時23分だ」

日菜香は、ポケットに仕舞っていたスマホを取り出す。

ちょうど良い時間だ。

21時からは花火が始まる。あと一つほど屋台を回って花火を見よう。

「あ、風佳!私、かき氷また食べたいわ」

「お,良いよ。私はチョコバナナ食べたい」

「じゃあここから近いのはチョコバナナだし、そっち先に行こう」

「ありがと」

このお祭りも、もう少しで終わりだ。

これが終われば、彼女達の夏休みは勉強三昧の日々となる。今日も塾で何時間も勉強した後に、彼女達はお祭りの待ち合わせをしていた。

「あったよ、チョコバナナの屋台」

「よし、じゃあ、じゃんけんしてくる」

ここのチョコバナナのお店は、300円と少し高いが、屋台の人とのじゃんけんに勝つと一個プラスで貰えるのだ。

幸い、人はあまり並んでいなかった。

「頑張れ〜」

日菜香は少し離れた所で待つことにする。

「最初はグー、ジャンケンぽいっ!」

風佳はパー、屋台のおじさんはグーを出した。

勝った。

「おめでとう、お嬢ちゃん」

おじさんは風佳に向けてチョコバナナを2本手渡した。風佳は落とさないように気をつけながらチョコバナナ2本を手に持ち、日菜香の元へとやって来た。

「はい、日菜香。1本あげる」

「え、いいの?」

日菜香の元へとやってきた風佳は2つ持っていたうちの1つを日菜香へ差し出す。日菜香は笑顔で「ありがとう」と言いながらそれを受け取った。

「じゃ、次はかき氷もう一回行って終わりにしようか」

「うん!」

ここからは、最初に行ったかき氷の屋台よりもあそこの方が近いだろう。

そう見当をつけた風佳は日菜香に声を掛けた。日菜香もそれに賛同し、2人はすぐ近くにあるかき氷の屋台へと、チョコバナナを食べながら向かった。

「これで最後だね、屋台」

「そうだね」

かき氷の屋台に着いた風佳は、「あそこのベンチで待ってるね」と言って、数メートル先にあるベンチへ向かっていった。

日菜香は「分かった〜」と返事をしながら口にチョコバナナを含む。

そんなに多くはないが、やはり夜とはいえ夏で暑いからか、かき氷の屋台には人が何人か並んでいる。

その最後尾に加わった日菜香はちらりと風佳が居るであろう方向に目を向ける。

少し先のベンチには風佳がチョコバナナを食べながら座っているのが見える。

(もう少し、一緒に遊びたいな)

もっと、風佳といたい。

今日一日で何度もそう思った。この楽しい時間が終わってほしくない。

この先のいつもと違う、初めての受験生の夏休みを経験するのが嫌なのではない。

ただ、彼女とまだ一緒に居たいのだ。

ただ、本当にそれだけ。


…やはり、私は風佳のことが好きなのだろうか。


日菜香にはいつからか、心に独り抱えていた悩みがあった。

風佳に見つめられるとどきどきする。

彼女が他の誰かと仲良くしているのを見ると、心にもやもやとしたものができる。

そして、今、こうして風佳と出かけているのだけで体が火照ってくる。あつくなってしまうのだ。


そんな事を考えていたらいつの間にか前の人がかき氷を貰い終わっていた。

慌てて日菜香はお金を渡して、かき氷を貰う。それとプラスチックのスプーンをもう一つ貰っていく。

シロップは何にしようか。

風佳は何が好きだろう?

こうしてみると、お互いのことは沢山知っていると思っていたが、案外知らないことが出てくる。

結局、最初の店でブルーハワイをかけたので

定番ないちごにした。

ベンチに座っている風佳のもとへ急ぐ。



一口だけ、歩きながら食べてみる。

最初の店よりも、少しシャキシャキとしているような気がした。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




風佳は2人がけ用のベンチに腰掛けた。

ベンチのすぐ近くにはゴミ箱もあった。運がいい。

風佳はずっと持っていた焼きそばのゴミをそこに捨てた。それと、食べ終わってしまったチョコバナナの串も一緒に捨てる。


ベンチに深く腰掛ける。

目線を斜め右に向けると、風佳と日菜香が先程までいた所には別の知らない人が立っていた。日菜香はどこだろう。

少し視線を彷徨わせるとすぐに鮮やかな青色を見つけた。


日菜香の着ている浴衣。私のと同じ色だ。


たったそれだけの事なのに、こんなにも嬉しい。待ち合わせ場所に日菜香が来た時なんて、込み上げてくる嬉しさをごまかすので精一杯だった。

(…日菜香は私のこと、どう思ってんのかね)

きっと、ただの友達。

良くて親友だろう。

だが、私がなりたい関係はそうじゃない。


お祭りも、もう少しで終わる。彼女達の所持金の残金がもう無いというのも勿論あるが、お祭り自体も22時までしか開催されない。

(…やっぱり、もう少しいたい)

そんなこと思ったって、どうしようも無いのはよく分かっているつもりだ。

だが、思わずにはいられない。


本当に、今夜は楽しかった。


お祭りが楽しかった、それもある。

日菜香と一緒だったから。

理由はこれだろう。


日菜香と見たから、広場の入り口から見た風景もいつも以上に綺麗に見えたんだ。



このお祭りが終わると、日菜香とはもうあまり遊ぶ機会がない。

学校で会うことはできるが、放課後に遊んだりなんて事は、中学1,2年生の頃と比べて断然減るだろう。

…それが、とても寂しい。

それに、日菜香と風佳は志望校が違う。

焼きそばを食べ終えた時に風佳が「また来たいね」と言ったが、あれには沢山の意味が込められているのだ。

もう、あまり会えなくなるかもしれない。

このお祭りで、彼女と行くお祭りは最後になるかもしれない。

また、一緒に、2人で来たい。


そんな事を考えていると、少し涙が出そうになってしまった。危ない。

(日菜香も同じこと思ってくれてたら良いな、なんて)

少し下を向いていた視線をあげる。

日菜香が並んでいた屋台に目をやったが、日菜香はいなかった。

「あれ?」

日菜香がいない。


「おーい、風佳。買ってきたよ」

突然、後ろから伸びてきた何か冷たい物が風佳の頬に当たった。

「ひゃっ!?」

「あははは、びっくりしすぎ〜!」

後ろを振り向くと、ついさっきまで風佳が目で姿を探していた日菜香が大笑いしながら立っていた。













ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ちょ、日菜香!笑うのやめて」

「あははははは」

先程、日菜香はかき氷を持っていて冷え切っていた手で風佳の頬に触れた。

それからずっと日菜香は笑ったままだ。

その輝くような笑顔が恨めしい。

「ごめんごめん、風佳の反応が良過ぎたからさ」

「もう…ほら、もう少しで花火始まるよ」

ようやく笑い終わった日菜香は手で涙を拭いながら「そうだね」と嬉しそうに言った。

「そういえば、風佳と食べようと思って」

そう言いながら日菜香は自分達の座っているベンチの上に乗せておいたかき氷を手に持った。そして、2つあるスプーンのうち、1つを風佳に差し出す。

「一緒に食べよ、チョコバナナのお礼」

風佳はありがとう、と言いながらスプーンを受け取ろうとした。

…だが。

「「あ」」

風佳が受け取るのが遅かった。日菜香が手を離すのが早かった。

どちらかは、分からない。

プラスチックでできた軽いスプーンは、小さな音さえも立てずに地面へと落ちていった。

「…新しいの、貰ってくる?」

「…いや、いいよ」

「じゃあさ、一緒のスプーンで食べない?」

「…ありがと、じゃあ一緒に食べる」

日菜香はよく言ったと自分を讃えたくなった。予想外の出来事であったが、女同士なのだし、別に一緒のスプーンで食べるのにはなんら問題はないだろう、うん。

風佳は日菜香の誘いにただただドキドキしていた。女同士なんだ、別に可笑しくはないだろう、うん。

「じゃ、日菜香が買ったんだし、先に」

「ん、いただきまーす」

日菜香はスプーンでシャキシャキとかき氷をそっとすくう。沢山シロップをかけた。きっととても甘いだろう。

「ん、あま」

美味しい。だけど、なんだか味に集中できない。

「はい、風佳」

スプーンを風佳に手渡す。今度は渡すのに失敗しなかったぞ。

「ありがと」

風佳は震える手でスプーンをもち、かき氷をすくう。それを、口に運んだ。

「ん、美味しい」

美味しいが、甘すぎやしないだろうか。私の気のせいかもしれない。


2人は自分の気持ちを隠しながら黙々とかき氷を交互に食べていく。



そんな時、お祭りのアナウンスが鳴った。


『あと1分ほどで21時になります』


ただ、それだけのアナウンスだった。あと1分で、花火が始まる。

「花火、楽しみだわ」

「ねー、早く見たい」

日菜香は自分の声が震えた声になっていないかと心配し、風佳は日菜香に自分の気持ちを分からせないために、なるべくいつもの自分でいようと心がけた。

((なんも思ってないんだろうなぁ))

お互いにこの関係が壊れるのが怖くて、自分の気持ちを言い出せない。それに、言い出したいとは思うが言い出そうとは思わない。

願望はあるが実行には移そうと思わないのだ。

「あ!始まった!!」

パン、と夜空に小さな花が咲いた。

空を見上げていた風佳が先に気づき、その声に釣られて日菜香が夜空を仰いだ。

遠くの空で閃光が昇る。それが開いて夜空を美しく彩った。

最初は小さな花火が一つ一つ丁寧にあげられていく。そして、時が経つにつれて段々大きな花が夜空に沢山咲いていった。

「花火って何度見ても綺麗だよね」

風佳がぽつりと独り言のように呟いた。日菜香は隣に座る彼女の横顔を見つめる。彼女の横顔は、度々夜空に咲く花々によって美しく照らされていた。

ここで、風佳の方が綺麗だよなんて言えたらどんなに良いことか。

そんな勇気、私には無い。

「ね、何度でも見に行きたい」

だから少しだけ、ずるい言い方をしてしまった。こう言ってしまえば、風佳と何度も見たいという意味に捉えられる事はないだろう。

「そうだね、何回でも見に行ける」

風佳はその言葉に「日菜香となら」と心の中でそっと付け足した。


2人は少しの間、花火に見惚れていた。だから気づかなかった。無意識に、身体が彼女を求めていた事を。













お互い、手を繋いでいたのに気付いたのはもう少しあとのこと。

読んで下さった方、ありがとうございます!

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