誰か嘘だと言ってください
聞きたくなかった悪魔の声…
今、気絶してもいいですか?
「あれー?
らっちゃ〜ん、そんなところでどうしたのー?
…って、わぁ☆僕のウルトラハニーこんなところにいたんだね!!
それならそうと言ってくれればいいのに、照れてどっか行っちゃうんだもん。
僕、屋上やごみ箱の中まで探したんだよ。
さぁ、今から僕達の愛をはぐっ…」ゴスッ!!
念のため言っとくけど今のは俺じゃないからな!?朔螺先輩の拳が今来た変態(あんなことしたんだから当然だ)の顔面にクリティカルヒットしたんだ。
左頬の湿布の上をえぐるように殴ったのは、絶対にわざとだと思う。
「いったーい、らっちゃん。
親友の顔になんて…ガァッ」
「らっちゃんと呼ぶなと何回言えばわかるんだ、この阿保が。
おまえの脳は溶けてんのか?
なんなら今から炙ってやるぞ、んん?」
変態の顔が青ざめている。それは痛いほどよぉくわかる。
目の前の朔螺先輩の顔は笑っているけど、目は全然笑ってない。
いやぁ…逃げ出したい……だけど俺にはどうしても確かめなければならないことがある。
「………あのぉ、生徒会長というのは…」
その一言で元気を取り戻した変態は、突き刺さる朔螺先輩の視線をナチュラルに無視して話し出す。
「はいはぁい、それ僕だよ!!
生徒会長をやってる2ーAの
兎廩 規衣でーす!
誕生日は6月27日
ピカビカの16歳☆
血液型はAB型
身長は176cm
体重はぁ…ヒ・ミ・ツ☆
好きなものはあまいもっ…」バタンッ!!
俺はすべて聞き終わる前に部屋の中に入った。
…出たっ、アイツだっ!
前言撤回、誰が毎日お祈りなんてするかぁー!
バーチャルで買ってきていたロザリオを海に投げ捨てる。
大丈夫なのか!?やっていけそうにないぞ、…そうだ今すぐ荷物をまとめてここを出よう!それがいい。
俺が立ち上がると
〜ぎゃぁっ!!!
いつの間に!?
変態改め兎廩先輩が俺の首に腕を回して、肩に顎を乗せている。
その顔はニコニコと笑っており逆に怖い。
「照れなくてもいいじゃん、マイハニー。
そんなに僕と二人っきりになりたいなら言ってくれればいいのに、意思疎通は恋愛に不可欠だよ。
さぁ、今から二人の愛を育もうじゃないか。」
「いやぁー!!来るな変態!!
マイハニーって何だ!?
俺はおまえのじゃねー!キモイわー!!
近寄んな、触んな、二度と現れるなぁー!!」
そんな俺の言葉は聞こえていないのか、奴は俺をひょいと担ぎ上げ……そのぉ…所謂、お姫様抱っこで?まるで割れ物を扱うかのように、ゆっくりとソファーの上に降ろした。
改めて中を見てみると、やっぱスゲー広い。
キッチンまで完備されているし、廊下から入って(寮の部屋の中に廊下がある時点で普通じゃねー)左右に一つずつ部屋がある。
よかったー、部屋は別じゃん。
「何ぼーっとしてるの?
ま、そんな顔もかわいいげど
そーだ!記念写真撮ろう」
何のだ!?俺が突っ込む前に
『はい、チーズ☆』カシャッっと、何処から出てきたのかデジカメで写真を撮ってくる。
撮るのはわかったけど、首に腕回してくるのやめてもらえる?
超密着型じゃん、顔くっつけんな!
とか思いながらも、カメラを向けられると条件反射でピースしてニッコリ笑ってしまう自分が恨めしい…。
突っ走れー!おー!!