入学までの苦労
「はあぁぁぁぁーー!?」
時刻は昼、専業主婦がウトウトと昼寝を始める頃のこと。
平凡な一般家庭に1人の少年の声が響き渡った。
「だーかーらっ、まとっちゃんにはここの学園に通ってもらいたいのっ!ねっ?だめ?」
学園のパンフレットを丸めて振り回しながら、『ね?』のところで華麗にウインクをかまし、のたまっているのは、一見大学生にも見えるようなお姉様……ではなく、この少年のお母様だったりする。
「ふざけんなっ!俺は2週間前に高校に行きはじめたばっかりだぞ!?
友達だってやっとできたとこなのに、今から転校なんてできるか!!」
この話の主人公・稔傘 麻鈔は声を上げながらも半ば諦めていた。
なぜなら、この母親・稔傘 胡桃は有言実行タイプの人間だからである。たかだか息子の反対意見ぐらいでは怯みもしない。
「そんなこと言っても無駄なのだ〜☆
もぅ、手続きしちゃったもんねぇー!」
にぱっとアイドル顔負けの笑みを浮かべながら、彼女はとんでもないことを言ってのけた。
「あぁ、そんなことだろうとおもったよ。……はぁ、わかった。……行けばいいんだろ行けば!」
あぁもう、俺も男だ、高校でも地獄でも行ってやるよ!!
この選択が波乱の幕開けであることを彼はまだ知らない…。
「流石まとっちゃん、愛してる☆
ダーリンの次にっ。
と言うわけで、行ってくるね〜」
チュッと頬にキスを落としてから、大きな旅行鞄をガラガラと引きずって出ていこうとする胡桃様。
「ちょっと待て!どこ行くつもりだー!?」
そんな置きゼリフないだろ?
この世にそんなもの存在しちゃいけねー!
「今からダーリンと世界一周旅行に行ってくるの☆
福引きで当たったって言ったじゃな〜い。で、勝手に移住とかしちゃおうかなぁと思って。
一人息子が心配だからわざわざこの家売って全寮制の学園に入れてあげたんじゃない!
感謝してよねぇ〜」それじゃ、お土産楽しみにしててねっ。
っと、言い残し女王様は出ていかれた。
…逆らえる気がしねぇ。
え…勝手に移住ってできんの?
……って
「家売ったー!?」
…前途多難である。
これからどうなるのー!?
そのまえに、その学園って何処よ…?
この度は、このようなものを読んでいただき有難うございます。作者自身この先どういう話になるのかサッパリわかりません(←)それでも読んでやるよ、という心の広い方は、これからも末永くよろしくお願いします。