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銘光鳳学園  作者: 楓絽
29/29

裏での仕事

薫ちゃんSideです




薫Side




「神代要かぁ…。」




まとっちゃんの部屋を出ると、自然とため息が出る。よりによって『あの』神代要かぁ。めんどくさいのに絡まれてたんだなぁ…。でも、今日中になんとかしないと今までの苦労が水の泡になってしまうかもしれないし。

今日の苦労を考え、先に癒しを求めることにした。ある部屋の前で立ち止まり、チャイムを押す。僕だってちゃんと一般マナーぐらい知ってますー。まとっちゃんの部屋に入るときはそんなのいらないだけ、あれだよ暗黙の了解ってやつ?ドアが開くと、そこには僕のことが大好きなメッシュ君が。適当に挨拶をして中に入ると同室の子はいなかった。そういうことは今まで多かったし、都合がいいので気にしない。

勝手にリビングに上がり込み、シックな色合いの部屋によく合った黒色のソファに腰掛ける。すると、不機嫌そうに部屋の主がドカッと隣に座った。何が言いたいのかは何となくわかる。でもさー、もうちょっと嬉しそうな顔してもよくない?せっかく僕から来てあげたのに。




「昨日の夜から来ればよかったのに…。」




そういう奴だよね。その直球なところがかわいい。とか、思ってしまうあたり僕も重症だな。なんか気に食わなくなって朝からセットしたのだろう髪をぐしゃぐしゃに掻き回す。あーぁ、せっかく立ってたのがぺしゃんこ。こっちを睨んではくるけど、文句は言ってこない。かわいいなぁ、と思い、思わず口づけてしまった。あは、真っ赤になってるー。かーわいいなぁ。こんな僕を好きなんだって。初めてだなぁ、僕をこんなに愛してくれた人は。みーんな、途中で逃げちゃったもん。荒んだ僕の心を受け止めてくれる人なんてなかなかいなかったから。あー、大好きだ!!…なんて絶対言ってあげないけどね。




「…何しに来たんだよ。」




…言ってなかったっけ?癒されに来たんだよ。これも言ってあげないけど。




「神代要って知ってる?」




本音を漏らすことなく、ついでの用件を聞いてみる。まぁ、知ってても僕が知っている以上のことは知らないんだろうけど。




「神代……あぁ、ALアルの情報担当だろ。何度か話したことあるけど、胡散臭いやつだよな。」




意外な情報にビックリする。へぇ…ALねぇ、まさか族に入っているとは。調べてみる価値はありそうだな。叩けばホコリくらい出てくるだろう。




「ね、神代要について知ってること全部話してよ。そしたら、今夜頑張ってご奉仕するからさ。」




そう言った途端目の奥の色が変わった気がする。単純だなー。今日は規依の誕生日だから、夜通し騒ぐに決まってんじゃん。だから、奉仕する時間なんて無いよ。ざーんねん。




「知ってることって言ってもそんなにねーよ。ただ、ALは『黒ネコ』っていう店によく溜まっているらしい。なんでも神代の従兄弟が経営してるんだと。あと、神代は別名『青い死神』と呼ばれていて機嫌を損ねたら最後、地獄を見るらしい。」




最後のキレたらヤバイってのは知ってたけど、青い死神って…ださっ。からかったらキレるかな?キレるよな。匿名で嫌がらせの手紙出してやろう。

神代要は同じクラスになったことはないけど、噂はよく聞く。向こうも僕のことちょっとは知ってると思うよ。ほら、お互い目立つから。




「なんでいきなりそんなこと聞くんだよ。」




だからー、癒されに来たんだって。神代については、ついでだって言ったじゃん。…あれ、言ってないっけ?

睨まれると、より意地悪したくなっちゃうじゃん。自分で自分がサドなのかマゾなのかわからなくなってきた。嫌われたくないのにいじめちゃうとか今時小学生でもしないよな。




「なぁ、……何で?」




さっきより低いトーンで言われると落ち着く僕はやっぱりマゾなのかもしれない。だって嫉妬してくれてるってことでしょ?




「まとっちゃんが絡まれたんだって。」




いくら僕でもこれ以上引き延ばそうとは思わない。自分がされたら嫌だしね。僕の発言に納得したみたいで、それ以上は何も言われなかった。大丈夫だよ。今日中に…というより、今すぐカタをつけるから。




「ちょっとだけ、くっついてもいい?」




不思議そうな顔をされたけど気にしない。確かに僕がこんなこと言うの珍しいけどね。やる気を補充しないとやってらんない。

腕にギューっとしがみつくと頭を撫でられた。……手、大きいんだな。子供扱いされてるみたいだけど、気持ちいいので良しとする。

ふと、新たな意地悪を思い付いたから早速実践!!腕から離れ、首に腕を回し耳を甘噛みして一言。




「好きだよ、海睹。」




そのままスルリとソファーから下りて部屋をあとにする。チラリと盗み見た顔は真っ赤になっていて、意外と初なことにこっちまで赤面してしまいそうだ。あんな顔が見れるなら嫉妬した声なんて聞かなくて良いような気がする。

廊下にでるとさっきの顔を思い出し、思わず顔が綻んでしまった。これじゃ、知らない人が見たら僕変人じゃん。珍しい行動をしてしまうくらい僕は今日ご機嫌らしい。

かわいい恋人との時間を増やすためにも、早く仕事を終わらせようと電話をかけた。




薫Side end




.

薫ちゃんの内面が出た回でした。

ツンデレなのかヤンデレなのか狂愛なのか微妙なかんじです。


薫ちゃんと海睹がくっついたのは、あのコンテストのときです。

そのことも番外編で書けたらいいなぁと思います。

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