爽やかな目覚め?
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
いつの間にか日付も越えて朝日がひょっこり顔を出してしまった。プレゼント?そんなもの用意できる精神状態じゃなかったとか言い訳してみる。なんでこうも悩み事が増えるんだろう…?せっかく年上の友達が出来そうだと思ったのに。
「今日熱が出たことにして学校休もうかなぁ…。」
あぁ、それ良い案だなぁ…って?
「また!?いつのまに!?」
振り返るとキッチンスペースで優雅にコーヒーを飲んでいる峻峯先輩が。よく見るとテーブルの上にはトーストとサラダが2人分用意されており、おいしそうなジャムまで添えられている。
「ハロー。俺に会えて嬉しいのはわかるけど、話は食べてからにしない?」
そう言って席に着くように促されると、目の前にある誘惑に耐え切れるわけもなく椅子に腰掛ける。しょうがないだろ!?食欲は人間の本能だ!だから前半のおかしな発言はスルーだ。手を合わせたあとジャムをトーストに塗りたくってかぶりつく。
……うっまーい!!マーマレードって1番好き!この皮が超旨い!!顔に出てたのか峻峯先輩がクスクスと笑っており、一気に現実世界に引き戻された。…この人といると落ち着かないんだよなぁ。
「なんか、今失礼なこと考えてない?」
「!?いっ、…いえ、別に。」
やっぱりこの人、人の心が読めるんじゃないのか!?極力目を合わせないように食べることに集中していると、峻峯先輩は早くもペろりと平らげてしまった。
「じゃあ、食べ終わったから話すね。長くなるけどちゃんと聞いてよー。わかってると思うけど、話題は規依の誕生日について。プレゼント用意した?…あぁ、答えなくていいよ。今の表情でわかったから。でもー、安心しておっけーなのです!!そんなことだろうと思ってまとっちゃんにできそうなプレゼントプランを用意したから!その辺は任せといて。安心と信頼の薫ちゃんだよ!!いやー、逆によかった。まとっちゃんが用意してなくて。いや、用意してても、俺の準備を無駄にはしないけど。集合場所は規依の部屋なんだけど、準備があるからまとっちゃんは4時までに自分の部屋に戻ってきてね。プレゼント用意してないんでしょ?約束できるよね?もしいなかったら
…明日は血の雨が降るよ。」
…こわっ。ガクガクときっと真っ青になってるだろう顔を縦に降ると峻峯先輩は満足そうに微笑み、そこでやっと肩の力が抜けた。…だめだ。朝から疲れすぎた。
「っとまぁ、ここまでは楽しい話だったんだけどぉ…。」
え、何処がどの辺りが楽しい部分だったの!?そんなもの散りばめられてなかったよ!?なんて口が裂けても言えない俺。どうせチキンハートだよっ!
「ここからはちょっと真面目な話ね。ねぇ…最近親衛隊からなにかされた?」
珍しく本気で真面目な話だったらしく、峻峯先輩の目が笑っていない。いや、怖いから、怖いですからー!!俺何にも悪いことしてないのに、なんでこんな心臓縮みそうな思いしなきゃいけないわけ!?
「…別に何もないですけど。」
これは嘘ではない。前は確かにちょこちょこ細かいのがあったりしたけど、最近は不思議と止まっている。俺はこないだの全校生徒の前の発表がきいていると思ってるんだけど、…何かあるのかな?
「んー、そっかぁ。わかった。何もないならいいことだよね!!誰かに言い寄られたりしてない?」
『言い寄られたり』のところで肩がビクッと反応してしまった。だって昨日のこと思い出しちゃったし。
そんなちょっとの反応を峻峯先輩が見逃すわけがなく、笑顔で昨日のことを洗いざらいはかされた。彼には彼には逆らえません、隊長!
全て言い終わったあと、ビクビクしながら先輩の反応を待っていると、何やら思いつめたような顔をしてキッチンに向かってしまった。そんなに緊急事態だろうか?…そうだよ。もともと峻峯先輩は兎廩先輩の応援をしていたわけだし。それなのに俺が他の男のとこにふらつこうとしてるなんて許せるわけがない。別に俺はふらついてなんていないけど。
何も言ってくれないと、段々と心配になってくる。明日じゃなくてむしろ今から血の雨が降るんじゃないのか!?と思うくらい。
「ヨーグルト食べるー?ハチミツ入れてもおいしいよね。」
差し出された器を見て、思わず脱力。てっきり包丁でも取りに行ったのかと…嘘です。そんな目で睨まないでください。
そんなこんなで穏やかに(?)朝を迎えることができ、なんだかんだ今日も1日平和そうである。
「めんどくさいことになったなぁ。」
なんて峻峯先輩が呟いた言葉は、巻き込まれるといけないので、あえて聞こえない振りをしておいた。たぶん俺と関係してるんだろうけど。
今はヨーグルトで頭がいっぱいなのです。
.
お待たせしました。
そして、短くてすいません。
更新頻度上げれるようにがんばります!!