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銘光鳳学園  作者: 楓絽
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薫ちゃんの魔法




なんでこんなに人がいっぱい?




体育館のステージ裏まで連れてこられたのはいいけど、…いや、よくないけど。これって自由参加のプログラムじゃなかった?なのに何故全校生徒と言っても過言ではないほどの人がいる?




「それは、皆がこれを楽しみにしてたからだよ!」



「こんなの楽しみにするなんて……どんだけ皆楽しみないんだよ…って、朱里先輩!?」




いつの間に後ろにいたのか、……それに、




「なんで俺が考えてたことがわかるんですか!?」



「だって、声に出てたんだもーん!!」




『もーん』がこんなに似合う男子高校生も珍しいな。ってか、声に出てた!?うわっ、恥ずかしい…。

目の前でクスクス笑っている(ように見える)ガチャピンに連れられてスタンバイ位置へ。ヤバイ。逃げたい。緊張してきたー!




そういえば、海睹はどんな格好するんだろ?峻岑先輩があれだから……海睹も魔法使い?

必死に緊張を紛らわせようとしているのに、無情にも時間は流れていく。




ステージ脇からは司会の朔螺先輩の姿がよく見え、生徒会室ではありえないほどの人のいい笑みを浮かべている。…そっか、この人世渡り上手だ。




『それでは今からカップルコンテストを始めます。』




体育館に朔螺先輩の声が響くと、びっくりするくらい一瞬にしてざわめきが消える。それよりも、結局企画の名前はそれになったんだ……ネーミングセンスねーな。




『1組目はこちら。』




その案内でステージ中央に歩いていくガチャピンとムック……君達トップバッターだったの!?

最初からこんな異色コンビなんて会場ドン引……




「「「「キャー!!!」」」」




……するわけねーか。

コンテスト出場者は秘密にされてたんだけど、どこからかその情報が漏れた。やっぱり出場するのは見目麗しゅう人ばかりで俺はどこまでも浮いていた。

その情報のせいで周りの視線は痛くなるわ、嫌がらせは増加するわでろくなことがない。




「まとっちゃーん下見は終わった?じゃあ、メイクにいこうか!!」




……俺は学習した。この人にどれだけ反抗しても無駄だって。

メイクって聞いて軽く口紅塗るだけかと思ってたら、そんだけで終わるわけがなかった。




「まとっちゃんは素がいいから比較的ナチュラルメイクで。つけまつげも必要なし!」




そんなことでかれこれ十数分?気分的には数十分なんだけど。やっと終わった頃には俺はもうへとへとだった。




「かわいぃ〜、まとっちゃん!やっぱり俺の腕がいいからね!!」




『いってらっしゃ〜い』と言われステージ脇に押しやられる。え、俺まだ鏡見てないんですけど!めっちゃ不安なんですけど!ステージ上でのバッシングの嵐が易々と想像できる。




とっさに逃げようとするけど、腕を捕まれ逃げられない。そっちを見てみるとうさ耳の生えた兎廩先輩が。ニヤリと笑って頭をポンポンと叩いてくる。何がしたいのかわからず、睨みつけるが効果はないようだ。

緊張とか緊張とか緊張とかで俺が固まっているのをいいことに頭を撫で続けていた兎廩先輩だが、不意にその動きが止まり顔をゆっくりと近づけてきた。




「今日の麻鈔おとなしいね、かっわいぃ〜。いつもの強気な態度もかわいいけど。」




ハートマークが付きそうなほど甘ったるく囁かれ、ついでに耳を舐められる。思いもしなかった行動に自分でも顔が真っ赤になっているのがわかる。

先輩はクスクスと笑うと俺の腕を掴んだままステージ中央へと歩きだした。




『次はこのコンビ』




『カップル』じゃなくて『コンビ』と言ってくれたところに朔螺先輩の微かな優しさが見えた気がする。

ステージ上はライトアップされていて近くの人の顔もわからない。これは、かえってよかったかも。煩く響く声は否定的な意味なのかどうなのかすらわからない。震える足でなんとかステージ中央にたどり着いたときには緊張がピークに達していた。

すると何を思ったのか兎廩先輩が俺の腰に腕を回し抱き寄せてきた。思わずしがみつく形になると、途端に大きくなる叫び声。




そんな声など聞こえてないかのように堂々と立っているコイツは何者だ?




ニッコリと微笑みながら、再びゆっくりと顔を近づけてくる。

次はなんだ!?と身構えようとしても、逃げられない。




今度は脇にそれることなく―――――













悲鳴がよりいっそう大きく響き渡った。













どうやってここまでやってきたのかわからない。

気がついたらステージを降りていて、両端にある体育館を見下ろせるところに来ていた。左隣を見るといつもの姿に戻った朱里先輩と絖里。右隣を見ると……




「麻鈔、大丈夫?さっきからボーッとしてるけど。」




手摺りに腕を乗せ立っている兎廩先輩。

お前のせいだ!!とも言えず、視線をそらし、前を見る。ステージを見やすくするため、ここら辺はカーテンも閉め切りほんのりと薄暗い。だからきっと、俺の顔が紅くなっているのに気づく人はいない……はず。




『最後は、コチラ。』




そう言われ、出てきたのは真っ黒な2人。魔女っ子薫ちゃんとドラキュラ……海睹ちゃん?うわっ、こんなの本人に聞かれたら超睨まれるし!!

……だけど、全身真っ黒だったら他の出場者に比べて地味じゃない?派手好きそうな峻岑先輩にしては意外だ。…海睹が断固拒否したのかもしれないけど。




ステージ中央で峻岑先輩がクルッとターンすると短いフリフリのスカートが揺れ(魔女ってこんな服着るっけ?)歓声がより大きくなる。

海睹が後ろから峻岑先輩の首に腕を回し耳元で何かを囁くと、峻岑先輩は1つ頷き




「これから、薫ちゃんがステキな魔法を見せてあげるよ!!」




何かを床にたたき付けた。

途端に出てきた煙に辺りは一瞬パニックになる。

その煙が晴れてくると、より大きな歓声が響き渡った。




そこにいたのは、真っ白なウエディングドレスを着た峻岑先輩と、真っ白なタキシードを着た海睹だった。

…これって魔法じゃないよね?

そんなこと気にならないのか、歓声が止まず、隣で聞こえた




「その手があったか!!」




というつぶやきも聞こえない振りをした。

その手ってなんだよ、その手って!!






.

行き詰まってきたぁー…。

ラストって難しい…。

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