ドキドキ衣装発表
失敗したー!!
なんで昨日普通に寝たかな。逃げるチャンスだったじゃん!
……しょうがない、いきなりですがここで問題!
『結局逃げ出すことに失敗した俺は、今どんな状況下にあるでしょう?』
①、普段使わない教室に軽く監禁されて強制着替えさせられそうになっている。
②、魔女っ子カオルちゃんが俺の服を無理矢理脱がそうとしている。
③、魔女っ子カオルちゃんの後ろでガチャ○ンとム○クがターンの練習をしている。
………正解は?
全部でした!!
今、やっぱりとか定番とか思ったでしょ?だけど、俺にとっては死活問題なんだからね!!
魔女っ子カオルちゃんって何!?ってかんじだけど、言ってしまえばそのまんま。峻岑先輩が魔女の格好をしてるだけ。
だけ、とか言っちゃったけどそれはそれは似合う。いつもとは違って髪を結ってないから本当に女の子みたい。
で、説明もしたくないガ○ャピンとムッ○なんだけど(以後めんどくさいので○は無しでいきます)中身はわかるだろうけど、后乃兄弟でーす!
マジわかんねぇ、そのセンスが。ちなみにガチャピンが朱里先輩でムックが絖里ね。意外なんだけど!なぜその衣装を承諾したのだ、絖里!?
しかも、ターンがめちゃ上手いし。ムック動けないとか実は迷信なんじゃねーの!?
とまぁ現実逃避はここらへんで一旦終了しておいて、ここからは切実な問題へといこうか。
今俺らがいるのは社会科準備室。皐月祭とは全然関係ない場所にあって、人通りはかけらもない。勝手にコンテスト控室になっている。
朝、絖里のつくった朝食を食べ部屋を出たところで魔女っ子カオルちゃん(以下峻岑先輩)につかまった。
「まとっちゃんの衣装はこれねー!!」
差し出された衣装は……アリ○?あのお伽話の不思議の国の○リスだ。ただ、フリルがハンパない。お前はメイド服か!?というほどフリルだ。
「まとっちゃんはフリルいっぱいのほうが似合うと思って、オプション付けてみた。ステキすぎて涙が出てきたでしょ?さぁ、着替えた着替えた!!」
違う意味で涙が出てきた…。瞳をキラキラさせながら迫ってくる峻岑先輩に勝てるはずもなく、されるがままに着替えさせられた。
………死にたい。
「麻鈔ちゃんかわいぃ〜!!」
跳びはねながら褒めるガチャピン。
「へぇー、いいんじゃない?」
腕を組み納得したように頷くムック。
「俺がやったんだから当たり前じゃん!」
威張りながら写メを撮る魔女っ子カオルちゃん。
って、
「写メ撮るなー!!」
「大丈夫、大丈夫。かわいいって!俺が言うんだから間違いないって。」
『そぉーしん!』と言いながら携帯を掲げる峻岑先輩。
「送信!?どこに送った!?」
今ほどこの人に殺意が湧いたことはない。許されるなら胸倉掴み上げたい気分だ。…後が怖いからやらないけど。
「そんなの決まってんじゃん!そりゃ〜…」
続くだろう言葉に身構えるべくギュッと目を閉じる。
「そりゃ〜、理事長でしょ。」
……?なぜに理事長?
「もしかして規衣だと思った?だって規衣は生で見たほうがいいと思って。」
「……1つだけ聞いていいですか?この衣装の趣味は誰のですか?」
「アリス服って言ったのは規衣だよ。やっぱりと思ってフリル付けまくったのは俺だけど。」
本当に峻岑先輩もこの衣装に関わっていたのか…。つまりは2人の趣味を合わせたわけね。悪趣味どもめ。
本当はクラスの出し物とか廻りたかったんだけど、この格好じゃ無理だ。さよなら俺の焼きそば。
「よっし、これで任務終了〜!じゃあ俺は遊んでくるね!!」
自分だけさっさと制服に着替え手を振りながら去っていく峻岑先輩。え、何のために着替えてたの?っていうか自分だけ遊びに行くなんて反則じゃないですか?
颯爽と去って行った峻岑先輩と入れ替えに見慣れたくもなかった金髪が目に入る。
その金髪は俺と目が合うと嬉しそうに近寄ってくる。来んじゃねー!!
「麻鈔ー!!似合うー!!かわいい、愛してる!!!!」
「ぎゃー!!来んな、近寄んな、どっか行けー!!!!」
俺の叫びも虚しくギュウギュウと抱きしめてくる兎廩先輩を止める人はここに存在しない。
「麻鈔っ、出店廻ろう!!」
「嫌だ!!」
即答した俺にガックリしたようだけど、そんなの予想できてたでしょ?
「じゃあ、一緒に写真を撮る!」
そう言うやいなや俺の肩をガッシリと掴み、写真といえばお馴染みのピースサインをする兎廩先輩。そしてどこから出したのかデジカメを構えるガチャピン。
カメラを向けられるとカメラ目線になるのは人間の性だと思う。
…こんなの思い出に残したくないんだけど。
「規衣ちゃんも着替えたら?それでもう1回撮ったらいいんじゃない?」
「なるほど〜、それいいね!!」
「なるほどじゃないから!!朱里先輩もいらないこと言わないでください!!」
逃げ出そうとしても許されるはずなく、やってきた朔螺先輩監視の元満足に動くこともできなかった。
その間に兎廩先輩は着替え終わったようだ。そういえば、先輩はどんな衣装なんだ?いや、わかるような気もするがわかりたくないのが本音。
「じゃーん!!どう、似合う?」
出てきた先輩はやっぱりというかなんというか、うさぎの耳にシルクハット、黒いスーツで登場した。
金髪なのが意外に似合っていて、一瞬見たまま固まってしまったが、すぐに目を逸らす。見とれてたなんてない!断じてない!!
せめてもの抵抗として、カメラを向けられても俯いていると顎を捕まれ無理矢理上を向かされた。蒼い瞳に自分の姿が映っているのを見て気恥ずかしくなり顔が紅くなるのを感じる。
なんだよ、コイツ!何で無駄に顔だけはいいんだ!!
あーだこーだと押し問答をしているうちに、いつの間にか帰ってきていた峻岑先輩とガチャピンに引きずられて気づいたら体育館。
ちょっと待って!ホントに俺この格好で出るの!?
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ここまで銘光鳳学園を読んでいただきありがとうございます。
連載も終盤に差し掛かろうとしていることから、『番外編のネタ』を募集致します!!
詳しいことは作者の活動記録のところに書いてあります。
よろしくお願いします。