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銘光鳳学園  作者: 楓絽
20/29

謎は謎のまま










………気まずい。










次の日どんな顔して兎廩先輩と会えばいいのかわからなくって、自室でうろうろしながら時間を潰していたがそれも限界になり、大きく深呼吸をしてゆっくり扉を開けてみるとそこには誰も居なかった。

安心したようなガッカリしたような……ガッカリってなんだ?ありえない、気のせいだ。とりあえず、よくわからない気分のままリビングの中まで行くと、もうすっかり見慣れた字で書かれた置き手紙が目に入った。





『Dear 愛しの麻鈔へ


おはよー。よく眠れた?

やっぱり麻鈔はかわいいから1人で出歩いちゃだめ!

だからボディーガードとして絖里を送るから一緒に行動すること。

浮気はしちゃだめだから!




<ウザったいラブレター内容が続くため中略>




帰ってきたらドアチェーンを付けること。


愛してるよ。』







だいたい言いたいことは伝わった(?)けど……俺って足手まとい?絖里にまで迷惑かけて……。

そう思っていると手紙の下にもう1枚紙があることに気づいた。




『PS

麻鈔のことだから、どうせ自分なんか役に立たないとか思ってるんでしょ?でも大丈夫!僕も役に立たないから!!』




どんな励まし方なんだ?というより、自分が役に立ってないっていう自覚あったんだ……。自然と笑顔が浮かび、こんな内容だけど、なんか元気が出てきた。だいたい自慢することじゃないし。







その日に会えば普通にしてられると思ったんだけど、生徒会長という役職がそうさせるのか兎廩先輩はあちこち打ち合わせに行っていて生徒会室にいることも少なくなった。つまり、先輩と話す時間なんかカケラもなかった。

同じ寮部屋でも先輩は生徒会室で寝泊まりしてるみたいで、部屋に帰ってくることはない。本当にコンテストに一緒に出るのか疑わしくなるほどなんの音沙汰もない。







そのままズルズルと月日は流れ今日は皐月祭前日だ。




SHが終わった後は皐月祭の準備時間にあてられる。俺達は一様生徒会役員ということになっていてクラスの出し物には参加できない。

2年の先輩は最後の仕上げということで忙しいが、1年の俺達は特にすることはなく暇を持て余している。

当日できないのだから、今だけクラスの出し物を手伝ってもよかったんだけど海睹の意見を取り入れ生徒会室で雑談中。最近では兎廩先輩がいないから、比例して海睹がしょっちゅうここに来ている。




「暇ぁ、麻鈔なんか話しろ。」



「無理。だからクラスの出し物手伝おうって言ったのに。」



「最終的にお前もノッただろうが。」




大きくてフワフワのソファーに寝転がって言い合ってる姿は端から見れば相当ぐうたら者だろう。

それを証拠に1人座ってコーヒーを飲んでいる絖里は苦笑いしている。意外と絖里は紅茶よりコーヒー派らしい。というわけで、今日は皆目の前にはコーヒーが置いてある。




「そういえば俺らのクラスって何すんの?」



「は?そんなことも知らずに手伝うとか言ってたのかよ。」




馬鹿にしたように言ってくる海睹に枕代わりに使ってたクッションを顔面に向かって投げつけるが、片手で阻止された。




「なら、海睹は知ってんの?」



「馬鹿にすんなよ。知ってるわけねーじゃん。」



「人のこと言えないじゃん!!」



「俺は手伝うなんて微塵にも考えてないからいいんだよ。」




海睹は笑いながら起き上がり優雅にコーヒーを飲んでいる。

……くそぉ、絵になる。




「焼きそばするらしいよ。面白いやつは3年がやるから1年は王道の物しか残ってないしね。」



「さっすが絖里〜、頼りになる!誰かさんと違って。いいなぁ焼きそば、俺もしたかった…。」




『誰かさん』のところで海睹をチラッと見ると、睨まれたため慌てて目を逸らす。




「だいたいクラスの出し物なんか行ってたら隙ができて、こないだのようなことになったら困るだろ。だから薫から禁止されてんの。諦めろ。」




『こないだのこと』忘れるはずない出来事は生徒会の間にだけ伝えられた。

そのあとは絖里や海睹と必ず一緒に行動し、けして1人にならないようにしてきた。それからはあのようなことは起こっていない。2人にはとても感謝してる。

それでも、起こってしまったことを消し去るのは不可能で、心の傷が無くなることはない。




俯いている俺を見て、海睹は慌てたように付け加える。




「まぁ、気にすんなって!あいつら全員退学になったから大丈夫だろ。」



「そっか………って、退学!?」




いや、何かしらの処罰はあると思ってたけど……まさかそこまでとは。




「え……麻鈔知らなかったの?会長から聞いたと思ってたけど。」



「だって最近話してないから。あんなのでも会長だから忙しいんじゃない?」




俺がそう言うと、絖里はどこか納得してないようで腕を組んでいる。




「じゃあ、明日のコンテストの衣装とかも聞いてないの?」




そりゃあほとんど会ってすらないんだから聞いているはずがない。言われたのが絖里だからか、そう言われるとなんだか嫌な予感がする。




「何?そんなに俺の衣装ってヤバイの?」



「……本当に知らないんだ。世の中には知らないほうが幸せなこともあるよ。」




そんなこと言われて『ハイそーですか』なんて言えるわけがない。いくら聞いても絖里は教えてくれず、諦めて海睹の方へ行ってみる。




「海睹は俺の衣装しってんの?」



「結構早い段階で知ってたぞ。薫が『これでまとっちゃんの衣装は決まった』って嬉しそうにやってきたからな。」




……じゃあ、衣装を決めたのは峻岑先輩!?絶対危ないじゃないか!

……って、今海睹何て言った?峻岑先輩のこと名前で呼び捨てした?…いつそんなに仲良くなったの!?なんて口が裂けても言えない。なぜなら海睹は今すごく虫の居所が悪いようだ。

どこに機嫌が悪くなる要素があるのかサッパリわからないが、触らぬ神に祟りなし。




結局衣装のことも何も聞けぬままその日が終わってしまった。






.

やっと皐月祭に近づいてきました。

なんか自分の文才の無さがめちゃくちゃわかってきました…。

だけど、最後まで書き上げるつもりです。もう少しお付き合いください。

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