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銘光鳳学園  作者: 楓絽
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道連れ上等!!




開け放たれた扉の中を恐る恐る見てみると、そこには本当に俺の天敵はおらず(あげるとすれば朔螺先輩か?)兎廩先輩を除く生徒会メンバーがテーブルを囲んでいた。




「麻鈔ちゃん遅ーい!チョコケーキが溶けちゃうでしょ!!」




そういいながら冷蔵庫からケーキを取り出してくる朱里先輩。冷蔵庫に入れてたら大丈夫だと思う。……そもそも冷蔵庫があること事態おかしいが。




「俺が1番の功労者なんだから、1番に食べる権利がある!」




意味不明な持論を述べてケーキの3分の1をごっそり取っていく峻岑先輩。




「ああぁー!ずるーい、ボクも食べる!!」




そう言い終わる前に3分の1取っていく朱里先輩。




「………。」



「まとっちゃんはどれくらいいる?」




俺の分があったのがビックリだ。結局残っていた3分の1をさらに3等分したものをもらった。残りは全て峻岑先輩が食べてしまい、ふて腐れた朱里先輩はポテチとアイスを取り出してきている。どんだけ食べるんだ!?

朔螺先輩と絖里も甘いものがあんまり好きではないらしく、このやり取りには興味なさ気でずっと本を読んでいた。




ものの数分で食べ終えた先輩方は今度はクッキーの箱を開けている。早く帰りたいなぁと思い席を立とうとするが、峻岑先輩が腕を掴んでいて動けない。そのままクッキーを凄まじい勢いで食べる姿は掃除機のようだ。

隣に座っている海睹に助けを求めようとしたが……寝てる?




そのクッキーも無くなりまんじゅうの箱を開けはじめたころ、やっと俺の腕が解放された。




ということで、さっさと帰ろうとすると絖里から呼び止められる。




「麻鈔、今日は皐月祭の話し合いがあるから、勝手に帰ると副会長が怒るよ。」




チラッと朔螺先輩を見てみると優雅に紅茶を飲んでいらっしゃる。しかし、一瞬だけこっちを向いた目は『面倒なことはするな』と物語っていた。




「でもっ、峻岑先輩はそんなこと一言も……」



「俺は規衣がいないこととチョコケーキがあることしか言ってないよ。仕事が無いなんて言ってないもーん。」



「じゃ、俺帰るから。」




どさくさに紛れて帰ろうとしている海睹の腕をとっさに両手で掴む。すると海睹は露骨に嫌そうな顔をしてこちらを見てくる。ここまできて1人残していくなんてあんまりじゃない?




「そーいや海睹会長のこと嫌いなのによくここに来たね。」




絖里の言葉にピクッと反応をみせた海睹を見て、そういやそうだったと今更ながらに思い出した。




「ごめん、忘れてた。」




パッと手を離すと、『じゃあ』と扉の方へ行ってしまった。俺も一緒に帰りたいなぁと思っていると




「ひぎゃっ!!?」




正体不明の雑音(悲鳴)が聞こえてきた。ゆっくりと声の方を見てみると……肩で息をしている海睹と脇腹を押さえうずくまっている兎廩先輩が目に入った。














もうちょっと出るタイミングが早かったら、すんなり帰ることが出来たのに(俺が引き止めたせいだけど)。生徒会室に逆戻りすることになった海睹は不機嫌オーラ全開でブスッとしている。

一方兎廩先輩は脇腹を摩りながら『う゛ー』だの『あ゛ー』だの言っている。その隣では峻岑先輩が大爆笑。朱里先輩は今だにケーキのことを拗ねながら綿菓子を口いっぱいに頬張っている(俺はもう何も言わない)。




あ、峻岑先輩が綿菓子取った。朱里先輩激怒、……恐っ!!なにあれ般若だよ!?峻岑先輩笑いながら食べるでない!絖里がなんとか落ち着かせようと大変だろ!!




なんとか棒付きの飴(特大)で朱里先輩が落ち着いたころ、兎廩先輩が来てから今までずっとこの騒ぎのなか仕事をしていた朔螺先輩がやっとこちらにやって来た。




「おまえは誰だー!?目が合った瞬間蹴り入れてきやがって!!」




……今頃その質問?立ち直るまでに時間かかりすぎでしょ。

海睹の人を射ぬけそうな視線もなんのその、立ち上がって怒鳴る姿は大いに尊敬できる。……これがあれか、……鈍感力?この人オリンピック並じゃない?世界チャンピオンだよ。




「………。」




話さないと決めているのか、海睹は口を開く気配がない。そんなに嫌いか?気持ちはわかるけど。

そんな海睹の様子を見てさっきよりも笑いながら兎廩先輩の肩をバンバン叩く峻岑先輩。それを見て海睹の視線がよりきつくなった……ような気がする。




「戯れてないでさっさと説明しろ。」




わぁー、さすが朔螺先輩。一瞬で静まりかえった生徒会室はアナログ時計の針の音しか聞こえない。今時黒電話だとか振り子時計だとか珍しいものばかり置いてある。





「う゛ー、皐月祭について。」




2年の役割分担をしている間に皐月祭を知らないので、こっそり絖里に聞いてみる。

要するに皐月祭とは文化祭のことでクラスごとに出店をやったり、部活によってはパフォーマンスをするらしい。

準備期間は1週間と短いがその1週間で皆完全燃焼するらしい。運営はもっぱら2年の生徒会と文化委員の皆様で行われ3年は好き勝手に騒ぎまくって大変なんだとか。

ここでは受験のため、部活動の引退も早いので息抜きのため先生達もある程度は黙認される。もっとも何かあっても処理するのは生徒会らしいが。




「で、ここまでは去年と一緒でここからが本題!理事長が毎年一緒だとつまんないということで、何か新しい催しを考えろとのこと。

そこで思ったんだけどミスコンなんかどう?ファッションショーは『裁縫好きよ集まれ、奇跡のファンタジスタクラブ』がやってるから、被らないようにコスプレ付きで。」




部活のネーミングセンスもどうかと思うが、ミスコンってここは男子校だそ!とか言っても無駄なような気がするし……嫌な予感もする。




「ミスコン?いいんじゃない。けど、ミスだけじゃなくてミスターも決めちゃえば?ってかむしろカップルでやればいいと思う。」




いやいや峻岑サン、ミスターだけでいいと思いますよ。

カップルなんていらないです。ほらそこの勘違い野郎が目を輝かせてるじゃないですか。




「さんせーい!もちろん僕は麻鈔と参加で!!」



「何勝手なこと言ってんだ!俺は絶対に出ない!!」




ほらみろ、思った通じゃないか!コイツと全校生徒の前でコスプレして歩けだと?死んでもヤダ。ヤダったらヤダ!!




「ボクは絖里とでるー!いいよね?」



「どうぞ、お好きに。」




わ、絖里……?

えぇ!?大丈夫なの?絖里も絶対嫌派だと勝手に思ってた。




「えー……じゃあ、俺はらっちゃんとー?」




余ってしまった峻岑先輩はチラッと朔螺先輩を見る。たぶん、『らっちゃん』という言葉に反応したのだろう、ギロリと睨みつけている。『ひぃっ!』っと言って峻岑先輩は青ざめいる。




「あんな鬼と一緒になんて無理ー!!」




泣きついてくる先輩に素朴な疑問が。




「出なきぁいいんじゃないですか?」




俺の言葉に先輩はブンブンと音がしそうなくらい首を横に降る。




「こんな楽しそうなイベントに参加しないなんて天変地異が起こったって無理!あっちゃいけない!!……そうだ!俺、みとっちゃんとでる!!」




そうしようと1人頷いている先輩だが、海睹はまさか自分の名前が出てくるとは思ってなかっただろう。思いっきり眉をひそめている。それとも『みとっちゃん』に反応したのか?どっちにしても嫌そうだ。




「いやーめでたく3組も決まったね!らっちゃんは司会担当ということで、これで盛り上がるの確実!!

よかったねー、じゃあ各自仕事にもどろう。」




『レッツラゴー』などと言いながら何故か部屋から出ていく先輩。




「文句言ってくる。」




立ち上がり出ていく海睹を止める者は誰もいなかった。

海睹サン……キレてる?




「まとるー。慰めてー!!」




呼ばれた声にハッとして俺も生徒会室を飛び出した。










.

やっと行事に入るなぁ……。

大丈夫かな、ほんとにまとっちゃんと規衣ちゃんの絡みが少ないよぉ……。

んー、番外編でも書こうかなぁ?

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