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銘光鳳学園  作者: 楓絽
15/29

サボりの友




『まとっちゃん見てー!あれが新しいマイホームよ!!ダーリンと話し合って決めたの!ねっ、気に入った?』




ここはパリ。おいおいヨーロッパまで来たのかよ。

今俺は、『やっぱり、家族は一緒に暮らさないと!』という、胡桃さんの気まぐれによりアイマスクを装着させられ(必要か!?)飛行機で強制送還された。この時ばかりは胡桃さんの気まぐれに感謝だ。あの場所から解放されるならなんでもいい。案外、海外の生活もいいかもしれない。

俺は新しい我が家を見ようと顔を上げる。




そこには……






−−−銘光鳳学園の寮があった。















ピッピッピッピッピーーー!!



−−−−ガシャンッ!!!




……現実は甘くない。

さよなら、298円の目覚まし時計よ。




あのあと地獄のような時間を過ごし(もう思い出したくもないから省略。)、精神的に疲れ果てた俺は部屋に帰ってくるなりベッドに入り深い眠りについた。確実に昨日は人生ワースト3に入る日だった。そういう日に限って時間って長く感じるんだよなぁ…。

だから、あんな夢をみたんだ。ホントに脱力。




可哀相な被害者である見るも無惨な目覚まし時計に別れを告げた後、覚悟を決めリビングへの扉を開く。あのあと早速理事長は鍵を付けてくれ、朝起きたらビックリ!!なんてゆう心配は無くなったが、共同スペースでは何があるかわからない。

何かしらの衝撃があるだろうと思い、ドアを開けた瞬間頭を抱えしゃがみ込む




………何も来ない?




こんなに静かになれるのかと思うほどシーンと静まり返っていた。

不気味だ。

呆気にとられていると、視界の端にメモ紙が見えた。そこには意外と綺麗な字で




『麻鈔へ


おはよう。

昨日はちゃんとぐっすり眠れた?本当は朝一でおはようのキスとか、行ってきますのキスとかして愛し合いたかったけど、朝礼の打ち合わせに行かなくちゃいけないので先にでます。許してね。

ちゃんと朝礼では熱い視線を送るから!!



ダーリンより』





………あぁ、なんか朝から疲れた。とりあえず、まだ時間があるからシャワーでも浴びようかな。












「んんー……。行きたくないなぁ。」




シャワーを浴びたあと、髪を乾かしながら考える。サボっちゃうかな。道に迷ったことにして。それに、俺がいなくても誰も気づかないでしょ。

適当に置いてあったパンをかじり空腹を満たすと部屋をでた。











やってきたのは中庭。

誰がしているのかは知らないが、手入れが行き届いているようで、春ならでわの色とりどりの花が咲きほこっている。朝なので日の傾きが小さく、ここまで光が届かないので辺りは薄暗い。肌寒い風だけが吹き抜けていた。




「ここ来て正解。いいかんじ。」




秘密の隠れ家的な場所を見つけて、機嫌が一気になおった俺は鼻唄を唄いながらどんとんと進んでいく。しかし、前方にベンチに横になっている人影を発見した。




やばっ、起こさないほうがいいよな。こんなとこで寝てるってことは先輩か?

ゆっくりと後退しだした俺の足元には何故かバケツが!?(お決まりパターン!?)気づいた時には既に遅く、ガコンッと大きな音をたててしまった。元々静かな場所だから音が響く…。




やっぱりうるさかったのか、彼はむくっと上半身を起こしこちらを睨んでくる。パッと見、第一印象不良。超恐い。

耳にはいっぱいピアスが付いていて、げっ口にもあいてんじゃん。前髪にメッシュ入ってるし。……ネクタイしてないから学年がわからない。

って、そんなこと呑気に考えている場合じゃない!超睨まれてるし、『何見てんだよ。』的な目をしてらっしゃるし、不機嫌オーラ全開。




「いやっ、あの、……朝から生徒会長を見たくなくってサボろうかなぁと…その、思って来たんです。あなたの睡眠を妨害しようとしたわけじゃないです!!」



「……はぁ?」




……………何言っちゃってんの、俺!?言ってることめちゃくちゃ!しかも、会長人気者たぶんじゃん!この人がもし会長ファンだったら確実にボッコボコにされる!!本当のことだからって何口走ってんだ俺!!




「何、おまえも会長嫌いなわけ?」




あぁ、俺の人生終わった……。胡桃様、俺にはまだここは早かったようです。




「……ごめんなさい!!やっぱそんなこと言っちゃ駄目ですよねっ……て、…も?」




『も』、ってことは……もしかしたらこの人も会長が嫌いなわけ?だとしたら、ぜひともお知り合いになりたい!




「いや、俺もあいつ嫌いだから。キャーキャー言ってる奴の意味がわからん。」



「ですよね!?よかったー、わかりあえる人がいて!」




予感的中!今日はなんかツイてるぞ。あとはどうやって仲良くなるかだな。




「……何でさっきから敬語なわけ?」



「えっ、だって……先輩ですよね?」




上目使いで聞いてみる。背も高いし雰囲気が大人っぽい。




「はぁ?そんな老けて見える?俺一年だけど?」



「えぇっ、同じ学年!?朝礼サボってるからてっきり。」



「自分のことは棚に上げてよく言えるな。」




……ごもっとも。




「てゆーか、初めて見る顔なんだけど。お前、誰?俺は降崔フルセ 海睹ミト。」



「今日から1-Aに来ました稔傘 麻鈔です。これからよろしく!!」




無理矢理握手をする俺を見て、海睹が苦笑したような気がした。




「1-A?ふーん、あんたが編入生なんだ。どうりで見たことないと思った。全校生徒の顔と名前はだいたい覚えてるから。」



「全員!?すごい!どうして覚えてんの?」



「そっちのほうが喧嘩売られた時に弱点とか握りやすいだろ。一々調べてらんないし。」



「……喧嘩ってよくするの?」




こう言っちゃ悪いけど、喧嘩とか凄く似合う。超やってそう。というより、凄く強そう。そこらへんの奴らなら、まず、喧嘩自体ふっかけないと思う。




「いや、最近はあんま無い。そんな命知らずな奴もなかなかいないし。」



「……そうですよね。」



「で、その編入生さんがなんで『会長が嫌いだから』という理由で初っ端から朝礼サボってるわけ?」



「麻鈔でいいよ。それから、よくぞ聞いてくれました!それはさぁ……聞くも涙、語るも涙。そう、キッカケは母親である胡桃さんが…………」











話を聞いてくれるってだけで嬉しくて、ついつい話し込んでしまった。すると遠くでチャイムの音が聞こえる。




「やばっ、もう始まる!?早く行かなきゃ。」



「じゃあ、先に行っといて。後から行くから。」



「わかった。話聞いてくれてありがとう!!」














静かな中庭の中、そこに似合わぬくらい慌ただしくバタバタと少年が走り去ったあと、そこには再び静けさが戻った。









そこに一人残された海睹はベンチに横たわると笑みをこぼした。








「『あの人』の一人息子か。」







.

やっと出てきましたー、海睹!

これでプロフィールに載っているキャラは全員でてきました。

さっきプロフィール見て、海睹が意外と背が高いことにビックリしました(笑)

次はまた薫ちゃんが暴れるかなぁ?

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