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銘光鳳学園  作者: 楓絽
11/29

現実はいつも残酷





本当にヤバイって!!

手ー繋ぎっぱなしなんですけどー!?


離せ離せ離せ離せー!!


バチバチ腕を叩いても、離れる気配がない。




「これはこれは生徒会長と……稔傘君?」




話かけられたときには心臓が止まるかと思ったが、知った声に振り返ると、そこには救世主が!!




「天巳先生ー!助けてー!!」




自由な右手を思いっきり先生に伸ばすと、先生はニッコリ笑ってその手を取り『と、言っていますが?』と、先輩に真っ向から勝負している。

負けるな先生、ファイトー!

俺の自由のために!




「別に僕は転入生と親交を深めようと仲良く学校案内をしているだけですよ。

それともなんですか、先生には生徒同士の交流を邪魔する権利をお持ちなのですか?」



「そういう訳じゃないけど、現に稔傘君は嫌だから俺に助けを求めたんでしょ?

仲良くしたいなら相手が嫌なことはしないほうがいいんじゃない?

お互いにとって。」



「お言葉ですが、麻鈔は僕と学校を回るのが嫌だとは一言も言っていません。

さっきだって『案内してもらうのは有り難い』と、言っていましたし。」




ねっ?と、笑顔で言われると確かに言ったような気がするため違うとは言えない…。




「…って、とりあえずこの手を離せー!いつまで握ってんだ!!」




先輩は凄く拗ねた顔をしながらも、ようやく手を解放してくれた。

お帰り俺の左手。

再び捕まらないようにサッと先生の後ろに隠れる。




「やっぱり問題がありそうだねぇ…。だけど、どうしようもないもんね。

まぁ、あと二ヶ月の辛抱だから。

それまで頑張って。」




同情したような目で俺を見てくるが、同情じゃあの変態からは逃れられない。

……二ヶ月?今聞き捨てならない言葉を聞いた気がする。




「先生、二ヶ月ってどういうことですか?」



「あれ?言って無かったっけ?

流石にあの部屋で一年は無理でしょ。今建設工事をしていて、新しい寮が約二ヶ月後にできるんだよ。

一年、二年は今のまま二人部屋だけど三年生は一人部屋になるよ。」




カケラも聞いてません。

だけど……と、いうことは?

…二ヶ月我慢したら先輩とはおさらばって訳だね!

俺の目の前に一筋の光が!!

んー、だけど二ヶ月か…長いなぁ、一週間とかだったらまだよかったのに。

まぁ、贅沢は言えない。




「えー、新しい寮に移っても麻鈔は僕と同じ部屋だから!

これ、決定事項。と、いうわけでセンセー手続きヨロシク☆」




顎に手をあてブツブツとこれからの計画を考えていると、突然腕を引かれ浮遊感に襲われる。

人生二度目のお姫様抱っこ…。




「下ろせー!!恥ずかしいから!」



「暴れると落ちるよぉ?」




ビクッと反応し反射的に先輩の首に腕を回すと、とてもうれしそうに笑っている。

睨みつけても何のその。あっという間に階段を駆け上がり、次々と教室の説明をしていく。先生は後を追ってきてまで助けてはくれないようだ。

微かに聞こえた『頑張ってねー!』の声はおそらく空耳ではないだろう。

くそぉ、教室のドアの間に黒板消し挟んでやる!




やっと下ろしてもらえたかと思うと、そこはとっても豪華な雰囲気漂う大きな扉の前。

呆然としている俺の手を引いて、戸惑いもせず中に入って行く先輩。

そこでやっと俺は扉の上に『生徒会室』と、書いてあることに気がついた。




「遅かったな、兎廩。」




話しかけてくる先輩の目は冷ややかだ。もしかしなくても、昨日のことだろう。そりゃ怒るって。待たされた挙げ句無理矢理追い返されたんだから。

しかし、空気をよむという言葉を知らないんじゃないかと思うくらいにこやかに返事をするのがこの人だ。




「途中で天巳ちゃんと世間話をしてたの!…って、規衣って呼んでって言ってるでしょ。」




天巳ちゃん!?先生をちゃん付け!?それに、どこらへんが世間話だったんだ!それに『天巳ちゃん』発言に朔螺先輩の眉がピクッてなったような気がする……気のせいか?

ツッコむところはいっぱいあるが、中の空気に負けてしまい何も言うことができない。



中はその外見を裏切らない豪華な造りになっていて、天井からはシャンデリアがぶら下がっている。

キッチンも当たり前のように備わっているし、何故かベッドまである。

こんな豪華なのが普通なのだろうか、兎廩先輩は朔螺先輩と喋りふけっている。……というより怒鳴ってる(主に朔螺先輩が)。




「客人をほったらかしにしてはいけませんよ、会長。」




こちらへどうぞ。と、生徒会役員だろう一人がソファまで案内してくれ、しかも紅茶まで出してくれる。

久しぶりに人の優しさに触れたような気がする…。




「初めまして。転入生だよね?オレは后乃 絖里 (コウノ ワタリ)。生徒会書記をしてます。

ちなみに1-Aでクラスは一緒。

学級委員もしてるからわからないことがあったら何でも聞いて。

絖里でいいよ。」



「初めまして!稔傘 麻鈔です。これからヨロシク!!

俺も麻鈔でいいよ。」




なんてことだ!こんなとこでクラスメイトに会えるなんて!!

優しそうだし、学級委員だし。虐められることはなさそう。不安要素一個解消!




「何、仲よさ気に話してんのー?

いきなり浮気?」



「いつ誰と誰が付き合い始めたっていうんだよ!?」



「それはもちろん、昨日から僕とまと…「付き合って無いから!!」」



「痴話喧嘩はそれくらいにしてここに連れてきた理由を説明したらどうだ?どうせ何も言ってないんだろ。」




『痴話喧嘩』という単語に思わず反応しそうになったが、ここでムキになったら相手の思う壷だ。

それに、連れてこられた訳だって知りたい。

まさかこの豪華さを見せびらかせるためだけではないだろう。




「あぁー、そうだった!

えっとね、麻鈔には生徒会に入って欲しいんだ!!っていうか、手続きはしたからもう入ってるんだけどね。だから学校が終わったら真っすぐにここに来てね!

もし、寄り道したり、浮気したら燃やしに行くから!!」




何を!?っと思ったが、口には出てこない。予想外のことに俺はポカーンとしたまま口を開け、固まっている。まさかの発言に頭が真っ白だ。そっちから来たか!?

っていうことはなんだ?二ヶ月後に部屋が替わっても毎日この人と顔を合わせるのか!?

再び未来の明るい光が閉ざされようとしているときに、肩にポンッと手が置かれた。

振り向いてみると、絖里が悲しげな瞳をこちらに向けていた。

彼は目を閉じてゆっくり首を横に振る。




…………抵抗しても無駄ってことか。





.

まだまだ先は長いですね。下書きをしないと書けないっていう、二重に時間がかかるかんじなので…。下書きだけは進んでいるんですが、あからさまにケータイを出してサボるわけにはいかないので、メモだけがたまっていっている状況です。なぜか、プロフィールだけで本編に出ていないキャラの番外編とか下書きしてます。(これがまた楽しいんですよ。)これが日の目を見れるようにがんばります!!そして、大変申し訳ないんですが、キャラ達が暴走しだしたので、プロフィールを書き換えると思います。最初ので覚えた方ごめんなさい。

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