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婚約破棄をされたら騎士様に彼女のフリをして欲しいと言われました  作者: 屋月 トム伽


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奥手ではありません


「ラケル、受け取って欲しい」


晩餐の後、居間でクロード様とお茶を飲んでいると、準備していたのかリボンで包装された箱を出した。


いかにも高級感のある箱に、もしや、と思った。


開けると、宝石のついたネックレスにイヤリング、そして指輪があった。


「…これは?」

「ラケルに今度宝石を買うと言っただろう」


この人は一体いくら持っているのかと思うが、クロード様からの贈り物は単純に嬉しい。


「ありがとうございます。…指輪だけすぐにつけていいですか?」

「勿論だ」


指輪はサイズぴったりで、恐らくあのオートクチュールでサイズを記入したから、見ていたんだろう。


「本当にありがとうございます。嬉しいです」


クロード様は微笑み、手をそっと包むように握ってきた。

クロード様的にはもっと近付きたいのかもしれない。


「ラケル…アーヴィンとルシール嬢が婚約した。ベイツ様からお礼を言われたよ」

「まあ、良かったですわ」


これでハーヴィ伯爵は少しは安心するはず。


「ハロルド様のことをベイツ公爵様はご存知で」

「…アーヴィンが全て話したらしい。どうせ結婚したらバレるからと。…そしたら、ベイツ様が性根を叩き直すと立候補して、休日に行ける日はハロルドの所に行って…その…体力作りというか、騎士の訓練をベイツ様がハロルドに指導することになったらしい」


あのハロルド様に?

騎士の訓練なんて耐えられないんじゃないかな。

でも、逃げられないわね。


「ハロルド様にはいい機会かもしれませんね」

「そうだな」


クロード様はずっと私の手を絡めるように握り、眺めていた。


「あの…私の手が何か?」

「…可愛いな、と思って…」


そういうことを言われるとテレるのですよ。

思わず、赤くなる顔を隠すように、横を向いてしまった。


すると、急に頬にクロード様の唇が触れる感触があった。

そのまま、クロード様の男らしい筋ばった手が優しく頬に添えられ、唇と唇が重ねられてしまった。


キスをされてしまったのだ。


「…クロード様…私初めてキスをしました…」

「それは良かった。…ラケル…早く結婚したい」

「私もです…」


執事のマーカスさん、使用人の皆様。

大丈夫です。クロード様は奥手ではありません。積極的ですよ。


頭の中で手紙を読み上げるようにそう思った。







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