クロードの回想
初めて、ラケルに出逢った時から可愛いと思った。
丁寧な接客に、何の花を買っていいのかわからない俺に、ずっと笑顔で話してくれていた。
こんなに好感を持った女性は初めてだった。
その日はずっと彼女の事を考えており、明日も俺が花を取りに行くことにした。
また、彼女に会いたかったから。
同僚達は、いいのか?と言ってくれたが、気にしないでくれ。と下心を隠すように言った。
そんなことを考えながら、帰ろうとすると、ルシール嬢がまた帰りに押し掛けて来た。
「クロード様、今日こそ良い返事を下さい!」
「お断りしたはずです」
「まさか、彼女がいるのですか?今日花屋で女性といるのを見かけました」
花屋の彼女といるのを見ていたのか?
「彼女に聞いてきます!」
「ちょっとお待ち下さい!」
ちょっと待て!
何で聞きに行くんだ!?
どういう行動力だ!?
「何故ですか?彼女ではないのですか?」
花屋の彼女は平民だろう。
物腰は、柔らかく品があったが、公爵令嬢のルシール嬢に詰め寄られたら、彼女が困ってしまう。
「…俺の彼女です。だから、彼女には」
「では、今度ご紹介ください!絶対ですよ!」
「ちょっと、お待ちを!」
彼女には近づかないで欲しい、と言おうとしたら言葉を遮られ、走って馬車に乗り込んでしまった。
何で話を最後まで聞かないんだ!
どうするんだ!俺!
勝手に彼女を彼女だと言ってしまった。
そして、彼女に近付きたいという気持ちもあり、花屋に翌日行くといなかった。
理由を聞き、なんとか彼女の事を教えてもらい、仕事が終わればすぐに彼女を訪ねた。
彼女は平民の娘ではなく、伯爵令嬢だった。
どこか品があったのは、間違いなかった。
そして、彼女のフリを了承してもらった。




