この家には置いておけない
残った私達は無言だったが、私はメイベルに言いたいことがある。
「メイベル、あなたにも責任がありますよ。あなたがハロルド様に余計なことを言ったのではないですか?…例えば、私が嫉妬しているとか…」
「だ、だってっ!いつもお姉様はそうじゃないですか?ハロルド様の時だって、すぐに邸から出たのは、私達に嫉妬して見るのが嫌だったのでしょう!?」
「見るのが嫌だったのは嫉妬ではありません。あなた達がおかしなことばかり言うからです!」
メイベルはまた、両親に甘え泣き出した。
「お父様、しばらくメイベルは自宅謹慎にするべきです。ハーヴィ伯爵から後日訪ねて来るまで問題を起こさせないべきです」
「そうしよう。ハーヴィ伯爵に私からも謝罪に行こう。メイベルのドレス代もこちらが負担しよう」
両親もさすがに項垂れていた。
しかし、ドレス代?
「何のドレス代ですか?」
「メイベルがハロルド様にねだり、毎日のようにドレスや贈り物をもらっていた…。特に高級オートクチュールで5着も仕立てたらしく…」
あのオートクチュールで5着も!?
一体いくらすると思っているんだ!?
どうやら、私達がこの部屋に来る前にメイベルに使ったお金のことをハーヴィ伯爵から言われていたらしい。
だから、私達が来た時に冷や汗が出ていたのね。
頭を抱えていると、クロード様が肩を抱き寄せて両親に告げた。
「お父上、失礼ですがこのような事態でラケルをこの家にはおいて置けません。今日から俺の邸に連れ帰ります。いいですね」
頼りない両親にまた来るかもしれないハロルド様。
クロード様が心配してくれるのが伝わってきていた。
「ラケル、俺の邸に帰ろう。すぐに必要な荷物をまとめてくれ」
「はい」
私に断る理由はない。
こんな事態では、あの平屋がいくら快適とはいえ、やはり不安になる。
クロード様の申し出に甘え、私はそのままクロード様の邸へとお世話になることにした。




