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最後まで話を聞いて欲しい

彼女のフリ作戦は成功を収め、クロード様の邸に着替えに帰ると、すでに使用人達は休んでおり、クロード様と二人っきりで邸に入らせて頂いた。

誰もいないせいで玄関から廊下に向かって灯りが灯されているが来た時より、やはり薄暗く、その中二人で部屋へと歩いていた。


「本当にメイドを呼ばなくていいのか?」

「脱ぐぐらいなら一人で大丈夫ですよ。いつもの服は一人で着てますし。もう夜ですし、クロード様のメイドにご迷惑をおかけするわけにはいきません」


私はお客ですからね。

今日初めて来たような客の為に夜遅くまで仕事はさせられません。

脱いだドレスは明日、きちんとしてくれるようですし、問題はありません。


「ラケル、暗いから…」

「はい」


暗いから、と私が転ばないようにクロード様が手を引いて下さった。


「階下に使用人の方々がいるのに、邸に二人っきりって感じですね」


いつも、平屋で二人だが、クロード様の邸だと何だかまた違う雰囲気を感じてしまっていた。


「…そういう危険なことは言わないでくれ…」

「危険ですか…?」


何が危険なんだか。

着替えに使わせてもらった部屋に着くと、クロード様も着替えに自室に戻り、お互いそれぞれ着替えを始めた。


もうこれで彼女のフリはお役ご免になる。

クロード様に会えなくなるのは淋しいがしょうがない。

将来公爵になられるクロード様にはきっといい縁談があるはずだ。

私ごときが邪魔をしてはいけないのだ。


「ラケル、着替えは済んだか?」

「はい、入っても大丈夫ですよ」


お互いいつもの服に着替え、もう帰る時間かと思うと、少し話さないか、とクロード様が真剣な顔で言ってきた。


彼女のフリ解消の通達だろうか。

律儀に言わなくても、しつこく迫るマネなんてしないのに。

私はそう思っていた。


「ラケル、今日は最後まで話を聞いて欲しい」

「はい、聞きますよ」


最後まで話は聞きますが…ちょっと近くないですか!?

ソファーの隣に座るだけなのに、クロード様と私の隙間が余りありません!


「彼女のフリのことなんだが」

「はい、もう終わりですね。もし、ベイツ公爵様に彼女のことを聞かれたら、適当に言ってかまいませんよ」


また、二人で来いなんて言わないでしょうからね。

やはりクロード様は律儀に彼女フリの終了を通達したいのだ、と思った。





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