庭の平屋に移ります
ハロルド様はよく妹に会いに来る。
よく婚約破棄した相手がいる邸に来られるな、と思う。
私が前婚約者だと忘れているのかと思うほどだ。
メイベルは私に見せつけたいのかニヤニヤと勝ち誇った顔で、ハロルド様はメイベルに甘えられて鼻の下が伸びている。
どうせなら、妹のメイベルがハロルド様の邸に行けばいいのに。
見せつけられても、好きだったことはないのだから嫉妬するわけがない。
しかし、居心地は悪い。
だから、私は両親に提案した。
「庭の平屋に私は移ります」
どうせ反対しないのはわかっている。
今の私は婚約破棄された厄介者だ。
「そんな……お姉様……まるで私への当て付けですわ」
当て付けはお前だ!と言いたい。
「ラケル、妹に意地悪をするんじゃない」
お父様はそう言うけど、今の言葉は当て付けですか。
「お姉様は私に嫉妬しているんですわ。ヒドイです……」
メイベルはいつも通り、両親に泣きついた。
もう何でもいいからほっといて欲しい。
「しばらく頭を冷やさせましょう」
お母様も私が意地悪な当て付けだと思っていた。
「しかし、1ヶ月後の王宮の夜会には必ず出るんだぞ」
「わかりました」
そして、私は庭の平屋に移ることができた。
庭の平屋は暖炉も浴室もあるから生活には困らない。
小さいがお湯を沸かせるくらいのキッチンもある。
ベッドには新しいシーツをメイドに敷いてもらい、中々快適だった。
翌朝は意外とスッキリし、久しぶりに買い物でも行くか、と着替えを済ませた。
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