婚約破棄は突然に
「婚約を破棄して欲しい」
そう告げたのは、婚約者のハロルド様だ。
ハロルド様はハーヴィ伯爵家の嫡男だ。
私の婚約者のはずがどうやら妹と結婚したいらしい。
いつも人のものを欲しがる妹はわざわざ私の婚約者まで欲しかったようだ。
「ラケルが俺のことが好きなのはわかるが、妹のメイベルを好きになってしまったんだ」
「お姉様、ごめんなさい」
いやいや、好きだったことはないですよ。
ハロルド様と私は政略結婚ですよね?
目の前のソファーに座り寄り添っている二人は悲劇の主人公のように酔っていた。
「では、婚約破棄ということでよろしいですね?」
「ああ、婚約破棄のサインをしてくれ」
用意周到に婚約破棄の書面を出し、私はサインをして、では失礼します。と部屋から出ていった。
両親はどうせ反対はしないだろう。
ハーヴィ伯爵家に娘が嫁ぐのだから。
しかし、婚約破棄はきっと噂になる。
しかも妹に婚約者を取られたのだから。
しばらくは縁談の話もないだろう。
そして、やはり両親からはしばらく夜会には行かないようにと言われた。
婚約破棄されるようなことは恥さらしだと。
そうなったのは妹のせいだが両親は妹を甘やかし、今回のことも私のせいだと決めつけていた。
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