選択
昼の一件から二人は食堂に向かう
「なんだろうなあれ、周りには二人しかいなかったし
必然なのかそれとも」
二人は重い足を動かした
食堂
「遅かったな敦と楓二人でどこ行ってたんだ?」
3人で食堂に歩いていたはずであった、二人が仲良く話していたのを聞きながら二人のペースに合わせゆっくり歩いていたはずだった、なのに歩くスピードも変えてないのに、後ろからは足音もしていたのに気づけばいなかった
「あのさ、、、」
僕はさっきの一件を言おう思った楓の方を見てから
「実は僕たちは楓の、、、、」
そういうと、世界が止まった
周りを見ると、楓しかいないそして手腕に繋がっている手錠の鎖がいつの間にか繋がっていた
「なんだよ、これはまた繋がっている」
驚いているのに声さえも出てない、心の中で叫んだ
繋がっている手錠、鎖の両端が太陽に照らされたダイヤモンドのように神々しく光る
光ったと思うときには砕け散り細かい粒子に変換、それは空へ舞っていった
「何が起こったんだ、、、楓大丈夫か?」
言いつつ楓の方へ目線をずらす
「胸が苦しい、助けて」
今は声が出る、もう終わった
そう思い手を差し伸べようとする、楓も手を伸ばす
手が触れる手前
突然の痛みが胸だけにくる
「、、、」
痛みが激しく唸る声さえもあげられない、時間が止まっているように感じる、心臓が破裂しそうになるような痛みは気づかぬまに肺に広がり呼吸さえもままならない、聞こえてくる音は心臓が猛烈に激しく鼓動している音のみ、呼吸ができないことに気づく
「これのせいで、もう死ぬんだ」
そう思い最後に楓を一目見ると楓も同じような状況だった、そうなった僕たちは目を閉じた
「おい!!どうした!大丈夫か起きろ!」
暗闇の中で耳に入る声はいつも聞いていた懐かしいような声だった、それに応じるようにかすかに残る気力で目を開く
「起きたのか、良かった急に二人とも倒れるから」
一安心したような声はいつも先頭を歩き周りからもかなりの評価をもらっている涼の初めて聞く悲痛の叫びも混ざっていた
隣を見る、そこには唸る声を出そうとしているような苦しそうで、自分の心がえぐられるその感情は痛いなんてものではなかった
僕は知らぬ間に右目から涙を流していた
「おい、大丈夫か?起きて!」
涼が呼びかけている、その声に先生がくる
「おいどうした、楓がどうなっている東」
先生は初めての経験なのだろう焦っていつも通りの声が出ていなく、場の決断はとりあえず保健室にとなった
二人は保健室で楓を挟むようにして座っていた
「なぁ、敦何があったか話してくれないか?」
真剣な表情で話す涼はいつもよりも何倍も大きく見えた、身長はほぼ変わらないのに自分の心が、その話題を切り出されるのが怖かったのだろうと思う
「ごめん、話せないや、また楓がこうなってしまうから」
その質問には黙秘する以外はない、嘘をつくのが今は楽かも知れないが後々この嘘が大きくなって返ってくる可能性が大きいからだ
しかし、そんなことでは許してくれない、まして自分が関わっているという事を話しているので、追求が止まるなんて事は微塵にも可能性がない
「ふざけんな、楓がこうなっているのは敦以外がやったって言えないだろ!簡単に済むような問題じゃない」
初めて涼が声を荒げた、僕も正直に言って楽にしたい、でも言ってもまた苦しむし、なんの解決にもならないことくらい自分でも分かっている
次はより辛い一撃が来るかもしれない、もしかすると死んでしまうことだって考えられるのだ
「絶対に言えない、関係あるのは否定しないけど、、でもそれに答えるだけで楓が死ぬ可能性だってあるんだ、まだ一回目だからとかの理由はあるけど、楓が僕が死ぬ可能性だってあるんだ、それを通り越してまで知りたいならそれは、涼じゃない」
いつの間にか僕の表情は怒り狂っていたのかもしれない、どこにも行き場のない感情はどこかに行こうと必死に暴れまわる、それを100%抑える自信なんて1ミリも感じれない
「確かにそうかもだな、もうこうなっているんだ、今は生きてるこれは間違いようのないことだけど、これからまたこれがあるとしたら、、どうなるなんて考えられないよな、ごめん俺がバカだった」
反省したような声は久しぶりに聞く、前は6年の頃僕が持っていたかなり前の本で毎日少しずつ読むような大切にしていたのもを、涼が貸してくれと言って貸したら、川に落としてしまったこと以来だった
「良かったよ、分かってくれてどんなに良い友達であったとしても死ぬを引き換えに情報を知りたいなんてバガげているよ」
涼はいつも通りの表情とは言えないがさっきの表情よりも砕けていて、爽やかな顔であった
「ここは、」
小さい周りに聞こえないくらい微かな声で僕たちはどれほどの安心をしたなんて考えれない、二人は緊張が溶けベットに倒れ込む形となった
「起きたか、おはよう」
涼は楓の手を軽く握り楓の目線でも捉えれることができる位置にいる
「ごめんね、心配かけてしまって何時間くらい寝ていたの?」
僕は今の時刻を見た、もう2時30分を軽く過ぎたくらいの時間だ、二人は先生に保健室にいていいですかと言ったら、分かったと言って帰っていった
今日の5限は体育でありそこまで重要視されていない訳じゃないがそれもあり許可が降りたのだろうと思った
「大体2時間くらいだよ、僕はすぐに起きてこれだけど、楓はかなり唸っていて、そしたら急に倒れてから二人で運んできたんだよ」
安心した声はいつの間にかため息をついていた
「ありがと」
二人に聞こえる声で楓の顔は笑顔だった
放課後
部活が終わった僕と楓は、二人で川沿いをゆっくりと自転車で帰っていった
「今日はありがと、ホントに助かったよ」
信頼が厚い楓の感謝の声はよく聞くが、心が籠もっているのがよくわかる、
「まぁいいよ、それくらいは当たり前でしょ?友達なんだしさ」
そういうと楓が少し笑っていた
「ねぇ、なんで敦と私がつながったのかな?」
不思議そうに言っているがその答えを僕が持っているわけではない
「それを言われても僕は知らないけど、近くにいたとか、そんな所かな」
何もわかってなさすぎる、そのことに実感する
もっと知らないと話にならないな
「とりあえず、私の家でも来る?」
そう言われる僕は少し遠慮したくなったが、そう言ったらなんか悪いよなそう考えコクリとうなずいた
「とりあえず、カフェでも行こうか、ちょっと疲れてしまったよ」
僕はヘトヘトだよっているかのような大きいため息をつく、実際疲れているのは間違いないし
その声に、「しょうがないな、少しだけね」
と言う楓はいつも行くカフェに方向をかえた
カフェ フラキ
フラキはいつも行っているカフェで勉強などするときもあれば帰り行っちゃう?的なときにもよく行く常連だ
「ねぇねぇ〜、今日は敦の奢り?」
楓は頼むように両手を合わせている
「えーなんで?別に対して金持ってないわけじゃないよね?」
楓の額にデコピンの構えをし、楓はヒャって言わんばかりの顔をする
「ごめん、今日財布持ってなかったことに今気づくであります」
「え〜〜」
ハァとため息をつく、なんで今日に限って持ってないんだ
「ってか、知ってただろ」
そういうと楓はビクっと動く、やっぱり、、、
すると、苦笑いを浮かべながら店員を呼びアイスコーヒー2個と頼んでいる
「アイスコーヒー頼んでないんですが、、、勝手に頼まないでくれます?
僕は今日カフェオレが飲みたかったのに」
そう文句を言う
「ゴメンちゃ」
と言う楓は置いといて、画面を見ようとするが後ろで手を振っている
「何してるんだよ」
あまりにも気づいてほしいような感じを出していたかので声をかける
「画面見た?なんか個数っていうやつと、lost&gotっていうやつが増えているけどー何これ?」
そういう楓に僕は画面を見てみる
確かに朝見た画面に比べて増えている
「まぁ、触らなければ大丈夫だろう」
すると、店員が机の上にアイスコーヒーを置いていった二人は、それを美味しそうに飲んでいる
「ここのコーヒーは家とは格が違うな」
家のコーヒーもインスタントでなくネットで頼んでから作っているのだが、どうやったらここまでの味が出るか1万出してもいいから教えてほしいくらいだ
「コーヒー最高ですな朝と放課後は必須」
そう声を漏らす楓もかなりのカフェイン大好きである
聞くに毎日3杯は飲まないとやっていけないそうだ
「まぁ長くいても何もならないし、私の家にでも行きますかね」
そう言って飲み終えたカップを皿に戻し立ち上がる
「奢りアザス」
そう言い終える楓は、外に出ている
「今回だけって言っても変わらないからな」
そうため息をつく
店を出ると、空の色は茜色に染まり後ろを振り向くと月が少し上がっていた
「もう6時くらいか」
そう言いつつ腕時計を確認したあと、二人は帰路へと向かう
「今日は勉強教えることできるけどする?」
楓がそういうのはいつもどおりで定期ではトップ15には入っているのにもかかわらず、塾など全然してないのにこと学力かよと突っ込んでしまう
「そうだな、今日は暇だし教えてもらおうかな」
そう落ちゆく太陽を眺めながら言う
「じゃ夜食べて帰るね、了解」
と歩いていた
二人は楓の家に着く手前の横断歩道を渡っていた、このときは少し楓が先行していた
横からかなり速いスピードで楓の方に飛び込んでいる
大型トラックが来ている、そのスピードは急に止まれるような感じでなかった
「楓!!」
僕が叫んだ
その瞬間に世界が色褪せた
謎の世界に入る僕は周りの動きがとてつもなく遅くなっている、僕はその瞬間勝手に体が動いた、、が体はいつもの動きにならず世界の速度と同じように自分の体も連動していたこのままだと助けれない、楓が死んでいまう
そう思った瞬間に画面が勝手に動きA、Bの選択肢が現れた
A 楓を引っ張る
B 楓を庇うようにトラックの前に立つ
この二択しか選ばしてくれないらしい
普通に考えればAが一番の怪我もしない方法だろうと思うが、Bがある意味そこに違和感が生まれる
(なんで安全なAがあるのにBがあるのか普通に考えたら、Aを選ぶがこの状況を考えろ)
頭をフル回転する僕は状況をみる
(引っ張るだけだと、もしかしたら楓の脚が持っていかれるんじゃないか)
そう考えだした、Aだと引っ張るときに脚が残る可能性が大きい、そう考えるとBの存在意義が生まれるそう考えた
状況はさっき見たときより楓とトラックが近づいている、もう手遅れになると思い出した答えは
Bだった
Bに目線を合わせると世界が色褪せたようになっているものから、カラフルな世界に戻り体が強制的に動く
「止まれーー!!」
そう叫ぶ僕はトラックの方向に飛び込むのであった




