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アイデアノート  作者: くらいいんぐ
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第三話 高齢者向けサービス

晴れ男は考えていた。

日本の総人口の25%は高齢者。4人に1人がお年寄り。やっぱり社会のニーズを考えないといけないな。


今、一番お金を持っていて、困っている人はお年寄りだ。家電が壊れたり、携帯の操作が分からなかったり、とにかく生活する上で、手助けするところはいっぱいある。

ご飯や買い物、病院への送り迎え、そんなことだってやってくれる人がいれば助かるだろう。


そういえば、近所のお婆さんが言っていた。


「タブレットで本が読みたいんだけど、どうすればいいの?いくらかかるの?」


そうなのだ。お年寄りも最新の機器が使いたいのだ。晴れ男は決心した風に、いつものように友人Aに連絡をとる。


「もしもし」


「やっとわかったよ」


「なんだよ?」


「お年寄り向けサービスだ」


「介護?」


「いや違う。御用聞きをするんだよ、何でも屋だ」


「ああ、わかった」


「・・・」


「要するに、便利屋ね」


友人Aは、すべてを悟ったように話した。


「要するに、坂本一生の『便利屋 お助け本舗』の高齢者向け版みたいなものね」


続けて言う。


「あのたぐいは、世にたくさん存在するね。ITバブル時代に流行ったパソコン教室と英会話教室みたいなものだね。」


「いや、そうかもしれないけど、あまりこの辺では聞かない職業じゃん。」


「そうでもないよ。よく粗大ごみ収集車が、マイク付車両で走っているけど、今ではその客寄せマイクで、パソコンのセットアップから、家電の使い方、なんでもご相談下さいって言ってたよ。要は、聞かない職業じゃなくて、流行らなくて目立たない職業ってことだよ。」


「でも俺のは、食事やその買い物だってやる。」


「それも流行らなくて目立たない職業だね。宅食は『ワタミ』や『セブンイレブン』がやってるけど、赤字だってね。話題にもならないし。買い物やお年寄りのお世話は、介護という部門で、訪問介護、介護サービスがやってくれるね。そっちの方がプロだし安心だし。」


「そ、そうかぁ・・・」


晴れ男はうなだれる。

すると珍しく友人Aが言う。


「まず、今は過渡期だからね。新しいことをやるのは大変だよ。というか、自分が考えることなんて、誰かがもうやっている。そこに市場が出来るなら(お金が発生するなら)大手がすでに手を付けている。」


「ほ~」


「サラリーマンが一番だよ、今の仕事をしっかりやってスキルを身につけるのがいい。それだけだな。」


晴れ男は、その日は妙に納得して、アイデアノートを開くことはなかった。ただ電話の後、1行だけ書いていた。


  自分の考えることは、すでに誰かがやっ


ている


なにか、新しい視点のヒントかのように、その1行は残されていた。

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