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アイデアノート  作者: くらいいんぐ
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第二話 コールセンター

晴れ男はいつものように会社に行った。

パソコンの前にずっと座っている地味な仕事だ。晴れ男のパソコンのデスクトップには、あるフォルダが置いてある。そのフォルダの名前は「アイデア箱」。仕事の合間にそのフォルダを開く。


〇年〇月〇日メモというテキストがずらーっと並んでいる。今日も10月1日のテキストを作成し、なにやら書き出した。


・人が困っていること

・解消されると便利な事

→ 病院の待ち時間

※予約制になってきたが、まだ待ち時間がある

お年寄りは、ネットを使いこなせない


晴れ男は考え込んでいた。まるで、真剣に仕事をしているようにも見える。仕事をさっさと終わらせ、自分のアイデアをまとめることに夢中だ。

晴れ男はしばらくすると、ハッとした顔で、キーボードを打ち出す。テキスト文書に書かれたのは、


病院案内コールセンター


すぐさま、チャットを立ち上げる。


「ちょっと、いいですか?」


「なに?」


「病院案内コールセンタープロジェクトをやろうよ」


「え?なに?忙しいんだけど」


「病院って混んでるじゃん!そこで、市内の病院の混みあい状況をネットで把握して、コールセンターで、ここが今空いてますよ、待ち時間は何分ですよと伝えて、予約を取ってくれるシステム」


「・・・」


「さらに言うと、病状によって、何病院の何科がいいですねって、おすすめする」


「あのなぁ、まず、市内の病院の混み合い状況を把握するには、各病院に今何人患者がいるか、予約が何人かという情報を入力してもらわなくてはならない。それに、大きな病院ではそんなシステムを導入する手立てがない。」


「・・・」


「それと、コールセンター。何人の人を養わなければならない?それに医療の専門知識があるといったらもう大変だ。どっちかっていうと、そのコールセンターへの繋がり具合の方が混み合うぞ。」


「・・・」


「それに、人の命がかかってるんだ。曖昧な案内はできないぞ。それこそ責任もんだ。」


「そうかぁ、ちょっと考える」


晴れ男はチャットを閉じる。そして、テキストにこう書く。


医療は難しい

居酒屋コールセンターならどうだろうか

→ 後日考える


医療に責任問題が生じるなら、居酒屋ではどうか。敷居も下がるのではないかと考える晴れ男。どの業界にも責任は生じる。そこで、医療の問題をどうするかという根本を考えるのではなく、次の手段は何かと考える。しかし、これには理由もあった。一人でできること、自分の責任範疇の中で事業を起こす。失敗したら自分がそのダメージを受けるだけ。そんな思いで考えていた。しかし実際は何かしら他人に迷惑をかける。彼はまだそれに気づいていなかった。


サラリーマンである晴れ男には、仕方のないことなのかもしれない。誰もが口で簡単にアイデアを言うが、それに責任を持つ人はいない。また、他人がやっていることに批判を言う。それであたかも自分も同じステージにいるという錯覚。それは常人が持つ当たり前の感覚だ。


でもまあまず、友人Aをコールセンターのように使っている晴れ男の態度を改める方が先かもしれない。友人Aにも都合がある。いくら友達でも頼りすぎの限度がある。晴れ男にはそんな感覚は全くなかった。


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