耳にタコができるというけど。あんたが悪いのよ?
耳にタコができるとあんたは言った。
けどそれを言うんだったら聞かないあんたが悪いのよ?あたしはあんたのためを思って言ったのに。
そういう言い分はあるが。あいつは怒り出したら厄介だから口にはしない。あたしも自分の身が可愛いからね。
あれはあたしがまだ幼い頃だった。あいつはあたしと同級生でクラスメートだった。あたしが通っていた小学校は田舎にあった。そのせいで学校に通う子供の数は少ない。1学年で30名くらいはいたら良い方だ。あいつやあたしもこの小学校に通っていたが。
あたしは父子家庭で父1人とあたし1人の2人家族だ。そのせいか担任の先生には何故か煙たがられるし同級生には白い目で見られていた。あいつは特にあたしを嫌っていて表向きは一緒に遊んだりしていたが。人目につかない所では執拗に嫌がらせをされていた。
あたしが小学四年生になった年の夏頃。この時の担任の先生はあたしにことさらきつく当たっていたが。あいつもそれに便乗して嫌がらせがエスカレートしていた。そんな時にそれは起きた。
あいつが「遊ぼう」と言って誘ってきた。あたしは能天気にものこのことその誘いに乗った。それが間違いだった。
「……奈都杞ちゃん。紹介するわ。この子はあたしのいとこなんや。んで他の子らはいとこの友達」
「へえ。初めまして。あたしはAちゃんの同級で奈都杞言うんや。よろしくな」
Aちゃんはいとこらしき年下の女の子や同い年らしい子らを紹介してきた。あたしは挨拶する。そうしてAちゃんや年下の女の子らと一緒に遊び始めた。
「じゃあ。うちで遊ぶのもなんやし。奈都杞ちゃん家に行こう」
「……わかった」
あたしが頷くとAちゃん達と自宅に向かった。ところが。自宅に着いた途端、Aちゃんは何を思ったかのか年下のいとこさんらに号令をいきなりかけた。
「……よし。それ行け!!」
いとこさんらはすぐにパッと走り出して自宅の庭にある空池--石を敷き詰めた池を模した所を持ってきていたゴミを混ぜて荒らし始めたのだ。敷き詰められていた石を投げてはゴミでぐじゃぐじゃにしていく。5分は経っただろうか。
「いいぞ。行くで!!」
Aちゃん。いや、Aは再び号令を出していとこらと共に一目散に逃げ出した。あたしはあまりのショックで動けず、仕返しもできずに茫然とするだけだった。
そうしてそれから冬になるまでAのうちの庭荒らしは続いた。父に見つかってあたしのせいにされて。こっぴどく叱られた時がある。しまいにはAは同級のクラスメートらにまで庭荒らしのことを言い広めた。自分があたしにやられたんだと事実とは間逆のことを言っているのだ。そこからは最悪だった。父やお世話になっていた親戚もその話を聞いたのか。あたしを蔑む目で見るようになった。
Aは懲りずに小学校五年の時も庭荒らしをやっていた。けどクラスメートで同じ地区のある子が見かねてあいつのお母さんに本当のことを言った。それによりAはこっぴどく叱られたらしい。なのにAは逆恨みしてこの子に仕返しをしていて。六年生になって中学生になった後もAはしつこくあたしを狙っていたが。いい加減にしろと言いたくなる。あんたはあたしを何だと思っているんだ。バカかと思う。
その後、Aは高校生になった後もあたしの事に執着していた。もう辟易していた。だからAとは距離を置いて無視を決め込む。なのにあいつは怒り出した。仕返しだとご近所さんにまであたしの悪評を言い広めていた。かなり迷惑だ。今はあいつは結婚して家を出たらしい。その代わり、謝りの一言もないのだ。
「奈都杞ちゃんな。祝福の言葉もなかった」
他の子がそう言っていたと後で教えてくれた時がある。でもどうでも良い。あたしには関係ないのだ。怒りとやるせなさと。ねえ。Aちゃん。あたしの立場や気持ちを考えた事はある?
全然考えた事がないんだろうな。最後にいう。あんたはあたしにとっては厄病神だ。もうあたしの友達だなんて言わないでね。
終わり




