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笑ってる海、泣いてる海  作者: 青嶋幻
7/10

第六話 留美の思い出

 留美は仕事を終えた帰り、映画を見に行くが、お目当ての映画がまだ公開されていなかったことを知り、落胆した。

 仕方がないので帰ろうと思い、バスへ乗ろうとしたとき、父親と娘らしき二人連れとすれ違った。ひどく気になったが、見覚えはなかった。

 家に帰ってくつろいでいると、不意にどこからか助けて女性の声が聞こえ、親子の姿を思い出す。留美は彼らが自殺すると確信し、家を出た。

 留美は自転車に乗って走りながら、封印された自身の過去に向きあっていく。


 風は吹いていない。埠頭の先に拡がる海は波もなく、鏡のようになめらかな表面を保っていた。空は月も星もない、真っ暗な夜。対岸にある工場の明かりがぼんやりと灯り、闇に沈んだ海と空を断ち切っていた。

 倉庫を照らす常夜灯が、埠頭の縁を越えて海を照らしている。光に誘われた小魚が、時折ぴしゃりと水面を破り、小さな波紋を作った。

 明かりに照らされた海は、引き込まれてしまいそうなほど澄んでいた。しかし深くなるに従って光は届かず、緑青色になって視線を隠蔽していた。

 じっと見つめていると、緑青色の中で、何かが潜んでいるように思えてくる。

 こっちへこい。

 こっちへこい。

 そんな声が聞こえてくる気がする。


 海が泣いている。


「堂原さん、早くオッパブ行こう。オッパブオッパブ」

 事務所に戻ってきた堂原に、リッポが浮かれた声で呼びかけた。いつもだらしない笑顔をしているが、今日はスケベさが加わって、更にだらしがない。

 留美は冷たい目でリッポを一瞥すると、パソコンのスイッチを切った。「お先に失礼します」と言って、そそくさと更衣室へ入っていく。電気を点けてきっちり鍵を掛け、身だしなみを整えた。

 給料日が来るといつもリッポはああなんだから、これだってセクハラに当たるんだし、堂原さんに抗議してやる。留美は怒りをため込みながら思った。

 ただし今日は用があるので、明日にしよう。留美はトコヨハイツを後にして、オレンジ色の夕日が輝く外に出た。雨は今朝上がっていたが、湿度はまだ高く、肌がべとついている感触がして不快だった。

 三保街道に出てバスを待つ。いつも通り道は渋滞気味で、前を走る車のペースは遅い。湿り気を帯びた風に排ガスが混じり、息苦しい。定刻より五分遅れてバスが到着した。空調の効いた車内で一息つき、一つだけ空いていた椅子へ座った。

 国道に出て、ようやくバスは通常のペースで走り始めた。腕時計を見て時間を確認する。

 いつもなら清水駅まで乗って行くのだが、この日は波止場前で降りた。横断歩道を渡ってユニクロの前を早足で通り過ぎ、エスパルスドリームプラザへ向かった。飲食店が並ぶ通路を抜け、エスカレーターを使って四階の映画館へ行く。チケット売り場は平日なので閑散としていた。自販機の前に立ち、表示された映画のリストを見る。

「仮面ライダーV3対デストロン怪人」、「007死ぬのは奴らだ」、「女囚さそり けもの部屋」

 おかしい、「スヌーピーの大冒険」がやってない。

 何度見返してもリストにないので、恐る恐る店員に聞いてみる。

「ああ。その映画なら明日公開ですよ」

 あっさりそう言われ、上映リストの曜日を間違えたのに気づいた。母親には今日映画を見に行ってくるので遅くなると言ってしまったし、早く帰ったら笑われるんだろうなと思う。小さくため息をつきながら、下りのエスカレーターへ乗った。一階に戻り、コンビニで買う予定だった夕飯を物色することにした。ドリプラなら総菜でマグロ丼も売っているし、この時間帯だったら値引きもしているだろう。

 一階のフロアに降りて、いくつかある総菜のコーナーを見て回る。最初に見たところでマグロ丼が一つだけ残っていて、二割引きの値札が付いていた。これにしようか、それとも他の所を見に行こうかと迷っていると、若い男にあっさり持って行かれた。仕方なく別のコーナーへ行ったが、どれも脂っこそうな揚げ物ばかりだった。マグロ丼を確保しておけばよかったと思いながら、仕方なく三割引きになった海苔弁当を買った。

 帰ろうか、それとも二階の雑貨屋を見ていこうか迷っているときだった。

 背中から吸い込まれるような力を感じ、無意識のうちに振り向いた。

 親子らしき二人連れが歩いていた。一人は四十代ぐらいの男で、ひどく顔色が悪かった。目は生気を失い、眼窩の中に落ち込んでいるように思えた。長袖のジャケットを着て、寒そうに体をかがめて歩いている。

 隣にいるのは小学生くらいの女の子で、青地に大きく白のロゴが入ったトレーナーと、水玉模様のスカートを穿いていた。ティーン向けの雑誌に出てきそうなほどきれいな顔立ちだったが、どことなく人形めいた乏しい表情をしていた。

 夕方のショッピングセンターを歩いている親子。別に珍しい組み合わせではないが、妙に留美の目を引いた。立ち止まり、通路を東に向かって歩いて行く姿をしばらく見てしまった。

 なんなんだろうと思う。あの親子に気力が吸い込まれていったのか、いつの間にか二階に行く気力が失せていた。再びため息をつくと、シャトルバスに乗ろうと思い、外へ出る。

 外は相変わらず湿っぽい風が吹いていた。バスが来るまでまだ時間があったので、ベンチに座った。今日のテレビ番組は何だったろうかと思いながらも、再びあの親子の姿が心の中に浮かんでくるのを意識した。

 派手な色のシャトルバスが到着したので乗り込んだ。椅子に座り、ぼんやり外の光景を見ていたときだ。不意に、夕暮れの光景を思い出した。

「民宿大倉荘」と手書きの看板が置いてある、古くて少し大きめの家。向かいは小さな畑で、半ば干からびたような作物が生えていた。家や畑の背後には丘のような低い山が見えていた。肥料の鼻を突く匂いが、どこからか漂っている。横には男が一人いて、留美の手を引いていた。

「お父さん、どこへ行くの?」

「もう少しだ」

 男は視線を合わさずぼそりと呟いた。

 父親は留美が小学校へ上がる前に亡くなっていたので、この思い出はまだ幼稚園の頃なんだろう。どこなのか覚えていないし、何をするため歩いていたのかもわからない。ただ、何かの拍子に時々思い出すことがある。

 あの親子を見たからこんな思い出が蘇ったのだろうか。ぼんやり考えていると、程なく清水駅へ着いた。エスカレーターをのぼり、改札を横切って西口に出た。

 線路沿いにある駐輪場から自分の赤いママチャリを出し、押切にある団地へ向かった。たちまち額や背中から汗が滲み出てくるが、乾くことはない。まるで粘り気があるかのように、肌に付着して拡がっていく。新幹線の高架をくぐったときには、上半身が汗にまみれていた。あともう少しと思い、ペダルを漕ぐ。

 エスポットの大きな看板が見えてきて、ようやくほっと一息ついた。住宅街を進んでいくと、古びた市営団地が見えてきた。雑草から発散される青臭い匂いを感じる中、ママチャリを駐輪場に止めて階段を上り、二階にある部屋のドアの鍵を開けた。

「ただいま」

 室内は明かりが点き、テレビの音が聞こえていた。留美は鍵を掛け、靴を脱いで奥へ行った。中には白髪交じりの女が一人、正座をしてテレビを見ていた。母親の恵子だった。

「あら、今日は映画を見に行くんじゃなかったの?」

「それがね、見たい映画、明日からだったの」

「あんた、昔からそういうとこが抜けてるねえ」恵子はケラケラ笑った。「運動会とか遠足とか、よく一週ずれて覚えてて、後で慌てたわよね」

「しょうがないでしょ、間違えたんだから」留美はフンと鼻を鳴らした。

「ご飯、もう食べちゃったわよ」

「わかってる」台所で急須にお茶を入れ、ポットから湯を注いだ。

「お茶飲む?」

「うん、お願い」

 棚から湯飲みを二つ出し、少し蒸らしてお茶を注いだ。一つを母親に渡し、テーブルへ座って弁当の包みを開けた。硬くて脂っこい鶏の唐揚げをどうにか食べ終え、お茶を飲んで一息つくと、空をゴミ箱に捨てた。薄っぺらい夕刊にざっと目を通す。

 テレビ欄に載っている番組はろくなものがないので、キッチンのテーブルへ座り、先週図書館で借りてきた推理小説を読むことにした。三分の一ほど進み、ようやく物語が動きはじめてきた頃だ。

 不意に背後で人の気配を感じ、顔を上げた。

 周囲には誰もいなかった。誰も見ていないテレビから、大げさな笑い声が響いている。お母さんはどこへ行ったのかしらと思っていると、浴室から出てきた。風呂の湯を入れに行ったらしい。

「何かあったの?」まじまじと自分を見つめてくる娘に、訝しげな顔で見返してきた。留美は返答に困り「何でもない」と呟き、視線を本に戻した。確かに誰かいたと思ったが、気のせいなんだろう。

 元々霊感とは無縁の人生を送ってきたし、心霊、ホラーのたぐいにも全く興味がなかった。トコヨハイツではしばしば幽霊が出るという噂が立ち、近所の子供たちからは幽霊アパートと揶揄されているのは知っている。しかしそんなものなど存在しないと思っているから、全く気にならなかった。

 だからこそ、今の感覚はひどく気になった。

 部屋の中に他人が隠れているんじゃないか。想像すると急に怖くなってきた。冷静に考えれば、こんな団地の狭い部屋に早々隠れられるはずがないと思うのだが、感情が納得しない。留美は本を置き、母親が出てきた浴室と隣のトイレ、寝室に使っている畳部屋と押し入れを恐る恐る覗いていった。

「あんた、何やってんの?」

「なんだかね、この部屋にあたしたち以外の人がいたような気がするのよ」

「何よそれ、そんなこと言ったら、あたしも怖くなっちゃうじゃない」

 今までずっと家にいたのだから、バカねえと笑い飛ばしてくれるのを期待していたが、逆に不安が伝染してしまったようだ。母親もあれこれと調べ始めた。

「留美、これを見て」

 奥の部屋から、恵子のやや上ずった声が聞こえた。

「何々、どうかしたの」

 ふすまから顔をのぞかせると、母親が不安げな顔をして仏壇を覗き込んでいた。留美も部屋に入って仏壇を見たが、特に変な様子はなかった。

「ほら、お父さんの位牌がずれてるわ」

「へえ……。そうなんだ」

 子供の頃からの習慣で、出勤する前は一度仏壇に拝んでいるが、位牌なんてまじまじと見ることもないので、違いはわからない。

「ああっ、そうだ」恵子が突然引き出しを開け、ろうそくや線香を引っ張り出した。更に手を奥に突っ込んで封筒を取り出した。

「あったわ」恵子が頬を緩めてほっと息を吐いた。「何かあった時のためにお金を入れといたのよ。位牌がずれてたから、盗まれたのかと思ったわ」

「お母さん」留美はため息交じりに呟く。「仏壇に現金を隠すって定番なんだからやめてね。空き巣って、真っ先に仏壇を物色するんだって」

「あらそうなの、知らなかったわ。じゃあ今度から別の場所にしましょう」

 現金は残し、そそくさとろうそくと線香を引き出しに入れ始めた母親に「ねえ、どういう風に位牌がずれているの?」と聞いてみた。

「ほら、ちょっと斜めになっているじゃないの」

 よく見ると、正面を向いていなければならない位牌が、確かにやや右にずれていた。釣られるようにして、位牌が向いている方向を見る。タンスが置いてあるだけだったが、その先に、さっきまでいたエスパルスドリームプラザがあるはずだ。

 留美は再度親子の姿を思い出した。自分が父親に手を引かれ、夕焼けの道を歩く光景と重なってくる。


「ねえ、お父さんはいらないの?」

「ああ。俺はいらないよ。遙佳が全部食べればいい」

「だめよ。もう少し食べなきゃ。お父さん、朝からほとんど食べてないでしょ」

 心配そうに自分を覗き込む遙佳の優しさに、水谷琢郎は思わず涙がこぼれそうになった。必死で目頭を押さえ、首を振る。

「ねえ、ちょっとだけでも食べてよ」

 食欲はなかった。しかし遙佳にここまで言われたら食べないわけにはいかない。押し出されたラーメンのどんぶりを受け取り、スープを一口飲んだ。醤油ベースのスープだったが、生暖かさがわかるだけで、味はしない。それより、最後の食事がラーメンしか食べさせられないなんてと思い、情けなくて堪えていたものが溢れてくる。

 どんぶりを置き、遙佳に悟られないよう目を手で擦った。

「どうしたの?」

「何でもない。お父さんはもういいから、遙佳が食べなさい」

 遙佳はこっくり頷き、どんぶりを自分の方へ引き寄せた。

 脳梗塞で急死した父親の跡を継ぎ、水谷が家具の製造工場を経営し始めたのが二十年前だった。廉価品が輸入物に切り替わって行く中、水谷は高級品に的を絞り、大きな利益は出せないものの、どうにか食べていくことができていた。

 そんな中、売り上げの三分の一を占めている大口の販売会社が倒産した。売掛金が回収不能となり、銀行へ融資を依頼しながら、新しい販路も探すはめになった。

 銀行からの融資は通ったが、売り上げは以前の水準を取り戻せなかった。借金の利払いも増え、経営は苦しくなるばかりだった。愚痴をこぼす水谷に、いっそのことバンザイしちゃった方がいいんじゃないかとアドバイスする者もいた。しかし五十過ぎで家族を抱える職人たちを思うと、簡単に辞めるわけにはいかなかった。

 そして二年前、二度目の貸し倒れにあい、ついに銀行から引導を渡された。自己破産の手続きを取り、自宅も失った。従業者や債権者に謝罪する日々が続いた。罵声こそ浴びることはなかったが、彼らの冷たい視線が心に突き刺さった。

 最もダメージを受けたのは妻の加菜美で、花を育てるのが好きな女性だった。家の庭は小さかったが日当たりがよく、鉢植えの花を植えていた。スズラン、あじさい、ひまわり、クジャクソウ、スイセン。四季を通じて花を絶やすことがなかった。しかしそんな家も手放さなくてはならなかった。

 大学時代からの付き合いで、卒業後にすぐ結婚したあとは、ずっと専業主婦だったこともあり、ほとんど働いたことがない。家計を支えるためにパートへ出かけたが、慣れない仕事にストレスは溜まっていった。家を失ったショックもあり、しばらくすると鬱になった。

 水谷はトラックの運転手をしながら妻と娘の面倒を見るようになった。早朝から仕事へ出て、夕方に帰ると食事を作って妻と娘に食べさせる。夜は動けない妻の様子を見つつ、遙佳が洗濯した衣類を畳み、翌日の朝と昼の食事を作った。

 そんなある日の午後三時、水谷の携帯電話に遙佳から電話がかかってきた。

 学校から帰ると、母が首を吊っていたという。

 慌てて病院へ行ったが、既に妻は亡くなっていた。頭が混乱している中、警察からあれこれと事情聴取を受けたあと、周囲から言われるままに葬式の手配を済ませた。気がついたら妻の姿はなく、骨壺が粗末な祭壇の上に鎮座し、遺影が微笑みを浮かべていた。

 初めて、ぼろぼろと涙が溢れてきた。取り返しの付かないことをしてしまったと思った。横で慰める遙佳にも、すまないすまないと繰り返し謝った。

 その日から、張り詰めていたものがプチンと切れた。眠れない日々が続き、トラックの運転中に接触事故を起こした。また事故ったら辞めてもらうからねと言われた一月後、これ以上運転し続ける自信がなくなり、自ら辞表を出した。

 そんな頃、水谷の弟から援助の申し出があった。しかしそれには条件があった。

「俺の知ってる芸能プロダクションでさ、小中学生のDVDを出してるところがあるんだ。遙佳ちゃんはどうかなと思うんだ。もちろん合法なんだけどさ、ちょっと露出は多いかな。プロダクションでアパートも用意してくれるそうだし、悪い話じゃないかと思うんだ。兄貴の会社の件では俺もかなり迷惑被ったわけだしさ、協力してくれてもいいと思うんだ」

 妻の遺影の前でタバコを吸いながら、浮ついた調子で喋る弟に怒りを覚えた。十代の頃から悪い仲間と付き合っていて、何度か警察沙汰になった弟だ。どうせ芸能プロダクションの社長もろくな奴じゃないだろう。

 小学六年生に上がったばかりの遙佳を見る。すらりと伸びた手足と、母親似の奥二重で切れ長の目。ふっくらとした唇と小ぶりで形のいい鼻。父親のひいき目を差し引いたとしても、きれいな娘だった。あと数年したら、嫌でも人目を引く少女へ成長するだろう。

 だからこそ、娘をあんなに嫌らしい男にゆだねるわけにはいかない。

「いただきました」

 遙佳がうっすらと微笑んだ。その笑みが泥のように沈んだ水谷の心をざわつかせたが、圧倒的な絶望感がすぐに押し潰していった。

「スープはいらないのか」

 こっくりと頷く娘を見て、伝票を持って立ち上がる。レジへ歩きながら、体の芯が痺れたような感覚に襲われ、現実感が消えているのを意識していた。ラーメン代八百五十円を支払うと、残った金は百三十六円だけだった。

 建物から外へ出ると、湿り気を帯びた風が全身を包み込む。その中に昼間とは違う冷たい物を感じ、体が震えた。オレンジ色に染まった西の空へ、東から暗い夜が触手を伸ばすように忍び寄っていた。

 いよいよ終わっちまうんだ。

「行こう」水谷は行き先を告げることもなく、街灯が点灯したばかりの道を、ゆっくりした足取りで歩き始めた。


 心がざわついている。何かしておかなければならない衝動が、点滅するフラッシュのように突き上げてくるが、それが何かわからない。キッチンへ戻って読みかけの本を再び開いたが、気が散って字を読み込めないでいた。

――お願い、助けて――

 どこからか女性の声が聞こえてきた。驚いて周囲を見たが、誰もいなかった。母親は風呂に入っているし、そもそももっと若い声だ。

 いったい何なの。

 心臓が激しく鼓動していた。訳のわからない声を聞いただけではない。何か切迫したものが心を突き動かしていた。椅子から立ち上がり、引き寄せられるように仏壇のある部屋へ入った。扉を開け、手を合わせて目を閉じる。

 夕焼けの田舎道が目に浮かんでくる。留美の手を握り歩く父親。コンクリートで固められた急な階段を下りた。目の前にゴロタ石の海岸が広がり、水平線の向こうへ、オレンジ色の太陽が沈もうとしていた。息苦しくなるほどの強い潮の香りが立ちこめ、石を洗う波の音が静かに響いている。やがて日は沈み、辺りが暗くなっていった。背後の道路に明かりが灯ったが、二人が座っている場所に光は届かない。

「お父さん、ねえ……」

 見上げる留美に、父親は悲しげな目で見るだけだ。ゆっくりと、黒々とした海に視線を移す。

 嫌、嫌、お家へ帰りたい。

 心の中で叫んだが、喉へ出る寸前、蒸発するように声が消えていく。

 父親がしゃがみ込む。

 目の前の顔が泣いていた。

 両手が手が伸び、留美の首を優しく、包み込むようにして握ってくる。

「嫌っ」

 叫ぶと同時に目を開けていた。目の前は父親でなく仏壇だ。エアコンを掛けているので、暑くないはずだったが、溢れるような汗が全身から噴き出している。心臓が爆発するように鼓動していた。

「留美、どうしたの」

 髪の毛から水滴をしたたらせ、バスタオルを巻いた恵子が、驚いた表情で襖の向こうから入ってきた。

「あたし……夜にお父さんと海岸にいた。すごく怖かった……」

 母親の顔から、さっと波が引くように表情が消えた。静かな目で留美を見る。

「ちょっと待ってて。着替えてくるから」

 恵子はそう言い残し、浴室へ戻っていった。やがてパジャマに着替えて、扉が開いたままの仏壇の前に正座し、手を合わせた。目を開け、留美に向き直る。澄んでいて、悲しさの中に強さを潜んだ目だった。

「お父さんはね、今まで心臓が悪くて亡くなったって言ったでしょ。あれ、違うのよ。病気だったのは間違いないけど、違う病気なの」

 恵子は大きく息を吐いた。

「あれはまだ留美が五歳の頃よ。お父さん、人がいいもんだから友達が食堂を始めるからって連帯保証人になっちゃったの。それでうまくいけばよかったんだけど、友達がお店を潰して蒸発しちゃった。それでお父さんが一人で借金背負う羽目になっちゃってね。おじいちゃんから受け継いだ土地も売り払わなくちゃならなくなったの。それでノイローゼになっちゃって、家からも出られなくなっちゃった。仕方ないからあたしが昼間働きに出て、お父さんが留美の面倒を見ていたわ。

 そんなとき、お母さんの仕事が忙しくてね、夜までかかったときがあったの。家に戻ったらお父さんも留美もいなかった。まさかと思って近所の人にも頼んで辺りを探したわ。八時ぐらいだったかしら。留美が海岸で泣いていたのを見つけたって連絡があったの。お父さんは翌日、水死体で見つかった」

 恵子は再び大きく息を吐く。肩がわずかに震えていた。

「あのとき、留美に何か起きたのと聞いたら、覚えてないと答えたわ。お医者さんはショックで記憶喪失したんでしょうと言っていた。だったら無理矢理思い出させるより、むしろそのままでいいという話になったの。あたしは留美を連れて、お父さんが亡くなった町から、ここへ引っ越してきたの」

 恵子の言葉が途絶えた。正座をしたまま、何かに押し潰されたかのように、肩を丸め、首をうなだれた。少し、体が小さくなったような気がした。

「ごめん……。変な話を聞いちゃった」

 沈黙を埋めるように留美が呟く。

 恵子が首を振った。

「謝るのはあたしの方。お父さんの病気をもうちょっと深刻に受け止めて入れたら、死ぬのを防げてたのかもしれなかったわ」

「お母さん、そんなこと言わないで。もうずっと前の話じゃない」

「でもね、ときどき思い出しちゃうのよ。どうにかならなかったかねえって」

 顔を上げた恵子は、目に涙をためていた。

「ねえ……本当によして。どうにもならないことは忘れた方がいいのよ。何かの格言でそんなのがあったわ」

「そうねえ。どうにもならないことで悩んだってしょうがないものねえ」

 恵子が少し笑う。気持ちも落ち着いてきたようだ。留美がほっとしたとき、

――今なら間に合う――

 再び声が聞こえた。

 ドリプラですれ違った親子の姿が、まざまざと思い浮かぶ。

 あの二人は、きっと死ぬつもりなんだ。

 突き上げるような衝動を感じ、留美は立ち上がった。

「留美、どうしたの?」

 唐突な動きに母が狐につままれたような顔をして見上げた。

「あたし……ちょっと出かけて来る。ドリプラに忘れ物しちゃったみたい」

「明日にすればいいじゃない」という声を無視して靴を履き、ドアを開けた。くすんだコンクリートの階段を降り、蛍光灯の弱い光に照らされた駐輪場へ向かった。空気は相変わらず湿っていたが、吹いてくる風は昼間より冷たい。自分のママチャリを引っ張り出し、暗い夜道へ向かってペダルを踏み出した。


 道の両側は倉庫になっていた。LEDの街灯が照らしている広々とした道路は誰もおらず、所々黒い油染みが付着していた。潮とオイルが入り交じったような臭いを含んだ、冷たい風が吹き抜けている中、辺りは廃墟の様な佇まいを漂わせていた。水谷はおぼつかない足取りでその中を歩いていた。

「さあ、早くしなさい」振り向いて口ごもりながら呟く。

 遙佳が不安げな目をして頷く。それでも足取りは遅く、水谷は立ち止まり、彼女が来るのを待って再び歩き出す。

 娘には、はっきりと話したわけではなかったが、これから何が起きるのか、薄々わかっているのだろう。

 亡くなった妻の第一発見者は遙佳だった。ドアノブにロープを掛け、首を吊っていたという。この子は母親の姿をどんな思いで見ていたのだろうか。詳しく聞くのはためらわれ、話をしたことはなかったが、それ以来遙佳は極端に口数が少なくなっていった。

 この子には何の罪もない。しかし、一人で生きて行くにはあまりにこの世界は過酷だ。一緒に生きたかったが、もう俺には生きていく力がこれっぽっちもない。仕方がないんだ。

「お父さん、これ」

 遙佳がハンカチを差し出した。妻がまだ元気だった頃に買った、マンガのキャラクターがプリントされたものだ。機械的に受け取り、初めて自分が涙を流しているのに気づいた。ありがとうと言いたかったが、舌がうまく回らず、くぐもったような声しか出なかった。目に当てて、涙を拭う。

 いつの間にか倉庫を抜けていた。前方に黄色に塗られた車止めが見え、大型の漁船らしき船が係留されていた。恐る恐る車止めの向こうを覗き込んだ。わずかな街灯の光に照らされ、暗い海水がゆっくり上下していた。

周囲には誰もいない。水谷と遙佳だけだ。

「遙佳、これからお母さんの所へ行くんだ」

 水谷は背負っていた黒いリュックサックを地面に降ろし、駅のドラッグストアで買ったガムテープを取り出した。

「お父さん……あたし、死ぬのなんて嫌……」

 水谷は娘の声を無視して、体にガムテープを巻き付けていく。両腕と胴体がぴったり固定されると彼女を優しく座らせて、足首に巻き付けていく。遙佳はぽろぽろ涙を流し始めたが、叫んだり、逃げたりすることはない。

「大丈夫。ちょっと苦しいかもしれないけど、すぐに楽になれるよ」

 水谷は自分の足首にもガムテープを巻き付けた。

「さあ、行こう」

 水谷は娘の肩を掴み、車止めの向こうに押しやろうとした。

 海の上が突然明るくなる。船が来たのかと目を凝らすが、ただ明るいだけで、船の姿も見えないし、エンジン音も聞こえない。

 何が起きたのかわからず唖然としている中、水面から人影が頭を覗かせた。

 ゆっくりと音もなく、天に昇るように全身が現れる。

 髪の長い女性だった。海から出てきたにもかかわらず、体は濡れていない。えんじ色のセーターを着て、グレーのスカートを穿いている。奥二重で切れ長の目。ふっくらとした唇。優しく微笑んでいる。

「加菜美……」

 水谷の妻であり、遙佳の母親だった。去年の秋、亡くなったときのままの姿。

 水面を歩き始め、水谷たちに近づいてくる。堤防の前に着くと、すっと浮き上がり、全身を目の前にさらした。髪の毛とスカートの端が、海藻のように揺れている。

「迎えに来てくれたのか?」

「そうよ。一緒に行きましょう」

 加菜美は柔らかな微笑みを浮かべ、両手を差し出した。

 水谷はごくりと唾を飲み込み、頷いた。遙佳を見る。

「お母さんが迎えに来たぞ。三人で一緒に行こう」

 加菜美の表情が曇った。

「お父さん……。遙佳はだめ。行けないわ」

「どうしてさ。遙佳を一人おいていけないよ」

「お父さん。人にはそれぞれ寿命があるの。あたしが死んだとき、お父さんも遙佳も悲しんで、どうして死んでしまったのかと思ったわね。でもね、人はいろんなタイミングで死が決まっていくの。お父さんはあたしが死んだのが自分のせいだと思っているでしょ。でもね、それは原因のごく一部でしかないの。銀行の方針とか、原口さんのお子さんの具合が悪いのに、失業させてしまったとか。いろんな理由があるのよ。

 その中で、お父さんは今が死ぬタイミングなの。だからあたしが迎えに来た。でもね、遙佳は死ぬタイミングじゃない」

「タイミングは……俺が決める。遙佳をあんな弟なんかに任せられないよ」

「大丈夫。遙佳はしっかりやってくれるわ」

 水谷は自分の呼吸が浅く、激しくなっていくのを、他人事のようにぼんやり感じていた。

「だめさ。遙佳の未来は俺が一番よく知っているんだ」

「ねえお願い、遙佳を残していって」

「嫌だ嫌だ、俺は遙佳と一緒に死ぬんだよ」

 涙がぽろぽろと溢れてくる。遙佳の体を抱え、這うように堤防の縁へ向かっていく。遙佳は不安そうに父親を見つめているが、抵抗しない。そう。タイミングが悪いのなら、どうしてこの子は自分から逃げないんだろう。きっと自分の人生が終わるのを悟っているからなんだ。

「さあ遙佳、お父さんと行こう」

 涙でくしゃくしゃに濡れた顔を、歪めるようにして笑いかけた。


 あたしは一体何をしているの? 留美はママチャリを漕ぎながら自問していた。それでもあの親子に会わなければという思いが強い。右手にはエスポットの派手な看板と、清水警察署の素っ気ない建物の明かりが見える。警察へ行ってあの親子を保護してもらうよう頼んだらと思ったが、自殺しそうに見えるだけで警察が動いてくれるはずもない。声が聞こえたと言っても、気のせいだと言われるのがオチだ。

 突き上げる衝動は更に強まっていく。時間かない、早く行かなきゃと思いながらペダルを回し続けた。既に全身が汗にまみれ、息が上がり始めていた。

 坂道を回避するためエスジーポートの裏へ回り、巴川沿いを走った。道は狭く、前方は暗かった。いつもは少年たちがサッカーの練習をしている小学校のグラウンドも、照明が消えて誰もいない。護岸越しに見える巴川に流れはない。ゆったりして羊羹のようになめらかな水面が、街灯の光で反射していた。星も見えない黒い空が、町を押し潰そうとするように広がっている。

 夕焼けの田んぼ中の光景。暗闇の中、首に手を掛ける父親、ドリプラを歩いている暗い顔をした親子、泣きながら夜道を歩いている自分。荒い息を吐きながら、脳裏に様々な光景がランダムに現れては消えていく。

――左へ――

 不意に声が聞こえて、電車の低い高架をくぐろうとした留美は、慌ててブレーキを掛けた。言われたとおり左へ曲がる。

――清水銀座に出て、踏切を渡って――

 声に不気味さとか違和感はない。不思議に思いながらもペダルを漕ぎ、交差点を右折する。前に見えてきた踏切は遮断機が下り、警報が鳴っていた。立ち止まり、じりじりと焦りながら遮断機が空くのを待っていた。

 不意に、目の前が暗転する。


 ぼんやりした目をして、自分の首に両手をかけた父親が見える。

「留美……ごめんな」

 父親が、斜め上から見下ろすように見つめていた。

 いつもとは違う、知らない人の顔に見えた。

 怖かった。それなのに体が痺れたように動かない。

 両手に力が入り、息苦しくなっていく。

 目の前で、火花のようなものがチカチカと光り始めたとき、

――やめて、手を離して――

 どこからか、声が聞こえてきた。

――やめて――

――やめて――

――やめて――

 雷のように続けざまに放たれる言葉に、父親は驚いて留美から手を離した。

 後ずさりしながら父親を見た。立ち上がり、手を差し出しながら茫洋とした視線を向け、弱い足取りで迫ってくる。

 弾かれたように走り出した。

「留美、戻っておくれ……」

 背後から襲ってくる言葉を振り払うように、夢中で街灯の明かりを目指した。時折石に躓いて、膝や肘を打ったが、立ち上がり走った。恐怖が、留美の体を突き動かす。


 ガタンガタン、ガタンガタン。

 音が聞こえてくる。

 目の前を電車が走っていた。窓から漏れてくる明かりがまぶしくて、目を瞬いた。

 人がほとんど乗っていない、がらんとした車内をぼんやりと眺めながら、たった今見た幻を思い出していた。

 心臓が激しく鼓動しているのは、必死でペダルを漕いだからだけではなかった。留美はすべてを思い出していた。

 あのときも、今と同じ声が聞こえていた。

 耳元で聞こえながら、ひどく遠い場所から響いてくる。

 海からの声。

 電車が通り過ぎ、遮断機が上がった。留美は腰を上げてペダルに体重を掛け、前へ進み始めた。

 二つの高架を越えると店はなくなり、両側は倉庫だけになった。留美は誰もいない暗い道を、一人で埠頭の先へ向かって走った。

 自転車のチェーンがきしむ音と、留美の激しい呼吸音だけが、がらんとした道に響いていた。

 海から逃げたあたしは、今、再び海へ戻ろうとしている。

 怖かった。

 でも、恐怖を越える強い力が、あたしを引っ張っている。

  前方で街灯に照らされた船が、うっすらと闇の中から浮かび上がってきた。その横の光が届かない暗闇で、影が動いていた。更にペダルへ力を込める。

 影は人だった。声を掛けようとした瞬間、転がるようにして堤防の向こうに消え、バシャンと音がした。

 自転車から降りて堤防の縁へ駆け寄り、暗い海を覗き込んだ。波紋は残っていたが、人は見えなかった。

 どうしたらいいか迷っていると、水面が動き、女の子の顔が現れた。

 目が合う。喘ぎながら、必死な目で留美を見ていた。

 暗闇の中、首を絞められている自分の姿が重なる。

 瞬間、留美は堤防を蹴り、海に飛び込んでいた。

 着水の瞬間、衝撃と共に、冷たい水が全身に襲いかかった。

 手を伸ばし、女の子を探す。

 柔らかいものが手に触れ、夢中で引き寄せた。

 沈もうとする女の子を、立ち泳ぎをしながら必死で浮き上がらせようとする。一瞬水面へ顔が出るが、再び落ち込んでいく。

 もがいている女の子の体を探っているうち、体がテープで巻いてあるのに気づいた。きっと足にも巻いてあるのだろう。

 このままだと沈んでしまう。

 手が使えないのだから、岸壁に捉まる事も出来ない。立ち泳ぎで顔を出して息を吸うが、やがて体力は尽き、女の子は海の底へ沈んでしまう。

――左手を下げて、テープの端がある――

 声が聞こえてきた。言われるままに左手を下げてテープを探った。

――もっと手前――

――少し上――

 あった。端が見つかった。思い切り引っ張り、右手でテープを更に剥がしていく。交互に手を使いながら、巻かれたテープを剥がしていた。

 目の前に手が現れた。

 その手を必死に掴みながら、岸壁のせり出した部分手を掛ける。女の子も岸壁にしがみついた。

 落ち着き始めて、口の中に塩辛い海水の味を感じているのに初めて気づいた。

 どっと疲れが襲い、大きく息を吐く。

 ゆっくり上下する海は、呼吸をしている巨大な生命のように思えた。冷たい海水が体の芯から熱を奪い、支えるもののない足は、ゆらゆら暗い海に漂っていた。女の子と一緒にいた人は、きっとこの海へ引きずり込まれてしまったんだろう。

 女の子が荒い息をしながら、必死な目で見ている。

 底なしの恐怖が突き上げてくるが、尖ったフジツボの刺激する痛みは、確実に留美へ生きている実感を与えた。

「おう、お前っちゃあそんなところで何してるだ」

 上から声が聞こえてきた。見上げると、帽子を被った老人が、訝しげな顔で留美たちを見下ろしていた。

「落ちたのよっ。助けてちょうだい」

「なんだと、ちょっくら待ってろ。人を呼んでくるからよ」

 驚いた顔をした老人が慌てて顔を引っ込め、人が落ちたぞと叫び始めた。

「もう大丈夫よ」

 呟いたときだ。留美の奥底へ沈殿し、硬くこびりついていたものが音を立てて割れた。

 中から熱いものが噴き出し、目頭へ溢れ出す。

「大丈夫……。大丈夫よ」

 止めどなく、熱い涙があふれてくる。


 留美たちの落ちた場所に、釣り人たちが集まってきた。もう少しだと励ます者もいれば、電話をしている者もいる。堂原とリッポは、倉庫の影からその様子を見つめていた。

「もういいだろ。あとはみんなが始末してくれるよ。早く飯を食わないと、オッパブが終わっちゃうぞ」

「堂原さん、僕の近くにもお母さんがいるんだよ」

 リッポは前を見つめたまま、静かな微笑みを浮かべた。

「そうなんだ。でもお前、お母さんて……あれなんだろ」

「うん。でもね、生まれたときからずっと一緒なんだ」

 それはどういう意味なんだ――言いだそうとした唇が止まった。リッポの横顔が、ひどく大人びて見えたからだ。

「堂原さん、今日はオッパブへ行くのやめるよ」

「いいのか? さっきまであんなに楽しみにしてたのに」

「うん。今日はなんだか行く気がしなくなっちゃった」

 リッポは倉庫が立ち並ぶ、人気のない道を歩き始めた。背中を丸めた後ろ姿は、普段見たことのない、孤独な影が差していた。


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