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プロローグ
始まりは、何もない場所に漂う絶望だった。
計ることすら不可能な膨大な時間を過ごしたそれは、やがて自らを殺す何かを求め、一つの命を生み出した。
絶望の元に生まれたその命は数を増やし、形を変えていく。
宇宙や星、動物や植物、人間や神へと。
全ては絶望を越えるため。
命の意志が消えぬ限り、道は続いていく。
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始まりは、不完全な愛から取り出した、純粋な部分。
絶望をどこか遠くへ追いやって忘れてしまった完全な世界は、不完全な俺には行き辛い。
人間という生き物から何処へも行けず、ただ停滞するのみ。
本質も見ず、自分を騙し、都合よく生きる。
全ては人間らしくあるため。
命ある限り、もうどこにも行けはしない。
もう一度やり直せるのなら、俺は―――